ドラマ批評・番外編

「インセクタ」
の批評!

「ザ・ロストワールド」。正規のビデオ版がMAXAM社からリリースされているこのシリーズだが、何故か他のいろんな会社もこのドラマのエピソードを纏めたものを複数リリースしており、おかげで正規のビデオ版では観れないエピソードが大量に存在するという非常にややこしい状態になっている(しかも邦題がビデオごとにバラバラだ)。そこで今回はMAXAM社以外からリリースされた「ザ・ロストワールド」のビデオを纏めて紹介しようというわけである。 まず最初にリリースされたのが、大映からリリースされたこの「インセクタ」だ。無数の蜂が飛び回るパッケージが印象的な本作だが、最初から何の説明も無しにアマゾンに滞在するチャレンジャー隊が映し出されるので、もしこのシリーズを知らない人間が本作を観たら「登場人物の置かれている状況について全く説明がされていない、筋書き無しのクソ映画」という評価を下しそうな気がする。元々連続ドラマのビデオ化なんだから、せめて最低限の説明ぐらい冒頭に付けるのが配給会社としての義務だと思うのだが…。さてそれはいいとして、批評に入るとしよう。
(注意:エピソードの邦題は、また私が勝手に付けたものです。話の内容を実によく表したものになっていますが、原題の直訳では無いのであしからず)

第23話 ジャイアントキラービー大襲来! 「評価 C」
内容 突如現れた巨大な蜂に刺され、サマリーが意識不明の状態になってしまった。このままでは全身に毒が回り、三日もしないうちに死んでしまう。そこでヴェロニカの知り合いである治癒師に解毒の方法を尋ねたところ、巨大蜂の巣にあるローヤルゼリーだけが唯一の薬になるという話だった。早速サマリーを救うために蜂の巣に向かうロクストン達だったが、なんと巣の中には死んだと思われていた治癒師の娘がいた。
批評 巨大な蜂がCG丸出しだが、蜂の巣のセットはよく作られていた。しかし蜂に苦しんでいた治癒師にハチミツを渡すサマリーって…。


第24話 チャレンジャーの電撃作戦  「評価 B」
内容 ロクストン達が蜂の巣に向かっている間、チャレンジャーとマーグリットは家に残ってサマリーの看病をしていた。猿人の群れが家に近づいているのを知ったチャレンジャーは、発電機を作って電線による防護壁を築き、家を守ろうとするのだが…。
批評 飛行機もヘッドホンも普通に転がっている世界において、尚も自然の材料で発電機を作ろうとするチャレンジャーの姿に感動。しかしうなされているはずのサマリーを放っておいて発電機製作に没頭するチャレンジャーって…。


第25話 人食い植物の楽園  「評価 A」
内容 ヴェロニカの両親のガイドをしていた男、シンタの死体を発見するチャレンジャー達。しかしシンタはまだ40にもならない年齢だというのに老人のように枯れた姿をしていたのである。後日、シンタの遺品から見つかった地図を頼りに、一行はヴェロニカの両親を探しに行くことに。途中、全身が針に覆われた化け物から逃げて洞窟に入りこんだチャレンジャー達は、そこを潜り抜けたところに広大な村を発見した。村の人間は巨大な樹が生えたこの地を「楽園」と呼んでおり、樹から採れる果物からの恩恵を受けて幸せそうに暮らしていた。そこで村人達からの歓待を受けながら、一行はヴェロニカの両親の行方を探ろうとする。だがこの村の人々は秘密裏に、生きている人間を樹への生贄として捧げていたのである。生贄として捧げられた人間は巨大な樹から養分を吸われ、数日前に村を出たシンタのように急激に年老いてしまう。その代わりに樹には食べた者を若返らせる果実が実り、村の人々はそれを食べて永遠の若さを保っていたのだ。この秘密を知ってしまったマローンは村人達に捕らえられてしまい、チャレンジャー達の見ている前で樹への生贄として捧げられてしまった。養分を吸われ、年老いてしまうマローン。果たしてチャレンジャー達は彼を救い、また楽園から脱出することができるのか!?
批評 ヴェロニカの両親探し、白人だらけの世界、そして怪物と、このドラマの面白いところを凝縮したようなエピソード。「樹」の倒し方が非常に味気ないが、冒険色も強くて楽しませてくれる回である。


第27話 マーグリット試練の旅  「評価 C」
内容 アマゾンの出口を探すマローンとロクストン。途中、宝石の採掘をしていたマーグリットとも合流し、3人でベロニカの家に戻ろうとしたところ、急に辺りの霧が濃くなってきた。気がつくと彼らは洞窟の中に立っており、周りにはドルイド達がいた。彼らドルイドの話によるとマーグリットは一族の救世主であるモリガンの生まれ変わりだそうで、一族の滅亡を阻止するためにマーグリットに試練の旅に出てもらいたいのだそうだ。そこでその気になったマーグリットは、マローンとロクストンと共に旅に出ることを承諾する。すると再び辺りに霧が立ち込め、霧が晴れると彼らは見知らぬ海岸に立っていたのである。
批評 あまりにもブッ飛びすぎた話のおかげで、突っ込む気すら起きないエピソード。「試練の旅」と称している割にはやっていることがいつもの「ザ・ロストワールド」の冒険と大して変わらず、もう少し工夫が欲しかった。



「LAND OF THE APES 猿の大陸」
の批評!

パッケージデザインからタイトル・ロゴまでまんま「Planet of the apes 猿の惑星」そっくりにデザインされている本作。だがその中には「猿の惑星」の便乗映画ではなく、驚くべきことに「ザ・ロストワールド」のエピソードが収録されていたのである!(ちなみに配給はパイオニア社)
しかし私が「ザ・ロストワールド」を観ていたから良かったものの、もしこのシリーズを知らない人間が「猿の惑星」の便乗を期待して本作を観たら…(以下略)。それは置いておくとして、さっそく批評に入るとしよう!
(注意:エピソードの邦題は、また私が勝手に付けたものです。話の内容を実によく表したものになっていますが、原題の直訳では無いのであしからず)

第28話 幻影の墓場   「評価 A」
内容 いつものようにアマゾンを探索していた一行だったが、突然蛮族の襲撃を受けてチャレンジャーが蛮族に捕らえられてしまった!そこで残されたロクストン卿達はチャレンジャーを助けるために蛮族の住む砦へ向かったのだが、そこにいたのはカサンドラという美しい女性であった。彼女は蛮族達から女王と慕われており、彼女はロクストン卿達へチャレンジャーの身柄と引き換えに夫の遺骨を洞窟から持ってくることを要求したのである。そこで彼女の指示する洞窟へ向かった一行だったが、その洞窟には恐るべき幻影の罠があったのだ・・・。
批評 幻影によって一行がピンチになっていく様が非常に面白い。ラストもそれなりのアイデアが見られたし、復帰作としてはまずまずの出来であった。


第29話 エイプマンは赤ちゃん泥棒?  「評価 B」
内容 ある日、アマゾンに捨てられていた赤ん坊を拾った一行。チャレンジャー達は赤ん坊の両親が近くにいるはずだということで親を探しに行こうとしたのだが、ベロニカは赤ん坊をとても気に入ってしまい、どうしても赤ん坊を手放したくないと言い出す始末。だがそんな折、一行の家にエイプマンが襲撃してきて赤ん坊をさらっていってしまったのだ!果たして赤ん坊の運命は!? そして、赤ん坊の両親は誰なのか!?
批評 密林といえばターザン。というわけでこの話もまんま「逆ターザンパターン」と言えるような内容だった。赤ん坊についての説明が頭を抱えてしまうが、意外と話はまとまっているし、良質の回である。


第30話 トルメックの宗教裁判  「評価 C」
内容 溺れている子供を見つけたサマリー教授は、すぐに彼女を助けて心肺蘇生を行った。その甲斐あって彼女は息を吹き返したのだが、その一部始終を見ていたトメリック率いる宗教団体がサマリー教授を「人間を蘇らせる魔法を持つ異端者」と見なしたのである! 彼らに捕えられ、宗教裁判にかけられることになったサマリー教授。彼を弁護しようと必死に人体科学について説明するチャレンジャーだったが、トルメックは「科学も宗教だ。だからおまえも異端者だな!」と言い出し、事態はますます悪くなってしまった。しかもその間に、宗教団体の魔の手はベロニカ達にも及ぼうとしていた。果たして、サマリー教授の運命は!?
批評 宗教と科学の関係について考えさせてくれる話。・・・だが、どう考えてもザ・ロストワールドで取り扱うようなテーマではないと思うのは私だけだろうか? 更に墓の文字について何も分からずじまいだったし、最後の最後で話の穴が多くなってしまった回だった。



「ジュラシック・ワールド」
の批評!

ファインアーツ社からリリースされたこのビデオ、「インセクタ」「猿の大陸」と同様に「ザ・ロストワールド」のエピソードを収録したビデオなのだが、主人公達の状況説明も無しにいきなりアマゾンの冒険から始まった前の二作に比べると、ちゃんと冒頭20分ぐらい使ってチャレンジャー達の旅立ちが描かれているので、少なくともパイオニア社よりは親切である。
(もっとも、その20分が完全に第1話のダイジェストで、みんなで気球に乗っていたと思ったら次のカットでいきなり人食い植物に襲われているマローンが映ったりと、かなり無理のある構成をしているのだが)

では、各エピソードの紹介と、批評に移ろう。
(注意:エピソードの邦題は、私が勝手に付けたものです。話の内容を実によく表したものになっていますが、原題の直訳では無いのであしからず)

第31話 迷い込んでアマゾン  「評価 B」
内容 アマゾンの出口を探すマローンとロクストン。途中、宝石の採掘をしていたマーグリットとも合流し、3人でベロニカの家に戻ろうとしたところ、急に辺りの霧が濃くなってきた。やがて霧は晴れていくのだが、気がつくと彼らは見知らぬ海岸に立っていたのである。
批評 内容を読んで粗方想像はつくかもしれないが、このエピソードは「インセクタ」に収録されていた第27話と全く同じ話である。様々な会社から本ドラマのビデオがリリースされているが、このようにエピソードが被っている例は他に無く、非常に珍しいものと言える。さてこのビデオに収録されている本エピソードは、「インセクタ」に収録されていたものと違って、ドルイドの出番が丸ごとカットされているので森の中からいきなり浜辺に移る。だがその分話が分かり易くなっているので評価は高めである(製作者の立場は…)。


第32話 あっぱれチャンバラ大戦争   「評価 A」
内容 探索を続け、巨大な湖を発見したチャレンジャー達。その湖畔で馬に跨った侍に追いかけられている娘を発見したロクストンは、咄嗟に侍を撃ち殺し娘を助け出す。だがこの娘は近隣一帯を支配する侍集団「光」への生贄として捧げられたのであって、生贄が逃げたことで彼女らの村は「光」から酷い仕打ちを受けてしまうことが判明した。勿論村の者達も「光」の支配を快くは思っていなかったが、戦う術を知らないので抵抗することもできない。そこでチャレンジャー達は彼らに戦い方を教え、「光」の支配から解放しようとするのだが…。
批評 ぶはははは! まさか侍までいたのか、アマゾンには! というわけで初っ端から笑わせてくれるエピソードだが、話自体はロクストンと敵の大将の一騎討ちなど見所も多く、単にミスマッチなだけに終わっていないのが良かった。


第33話 空から落ちてきた男  「評価 C」
内容 チャレンジャー達が湖畔の村に滞在している頃、サマリーら留守番組はすぐ近くの森へプロペラ機が墜落するのを目撃した。早速近寄って見ると、そこには壊れたプロペラ機と傷ついたドイツ軍兵士が。彼らは兵士を家に連れ帰って看病するのだが、実はこの男はマーグリットの過去を知る人物だったのだ…。
批評 いきなり英語を喋れるようになるドイツ軍兵士が微笑ましいエピソード。ラストでアマゾンを飛び去って行く兵士の姿が、この後ずっとアマゾンに滞在することとなるチャレンジャー達の境遇を考えると羨ましく思えてしょうがなかった。



いやはや、たかがアメリカの1テレビ番組がなんでこんな奇妙な形でビデオリリースされていかなにゃならんのか。しかもこれらの会社がリリースしているのは全て第1シリーズのエピソードばかりで、散り散りになったチャレンジャー隊の合流から始まる第2シリーズ、第3シリーズは未だにビデオ化されていない。MAXAM社はこれ以上ビデオリリースをする気は無さそうだが、もし何処かの会社が第2シリーズ以降のエピソードをビデオ化していくのならば、もう第1シリーズのようにバラバラでワケの分からない状態にはして欲しくないものだ、と切に願うばかりである。

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