番外編
三大蛇映画 三つ巴の戦い!


時はまさに世紀末。そのためかどうかは知らんが、最近全く同じ時期に「キングコブラ」「スネーク」「パイソン」と、蛇映画が3本もリリースされている。いったい、何故今ごろリリースされたのだろうか? 「アナコンダ」に便乗したとは考えられないし…。
それはともかく実際にリリースされたという事で、今回はそれらを徹底比較してみることにした。果たして、一番良質な作品はどれか? そして、一番ブッ飛んだ作品は何なのか? 今、三つ巴の戦いが始まろうとしている!(といっても、今回の文章はいつもの映画批評の3本立てです。念のため)
それではまず、各作品の紹介から始めよう。

キングコブラ                  「評価 C」

蛇映画の黄金パターンが貫かれている作品。トラックの積み荷の大蛇が、トラックが事故を起こした事によって逃亡。そして、近くの町の人々を襲い始めたのだ。そこで警察は、蛇の専門家に退治を依頼。だが専門家は、大蛇が生物学的に貴重な存在であったため、蛇の捕獲を考えていた。警察を説得した専門家は、蛇退治の機械(といっても、単なる鉄の筒に変な機械がついたような、相当情けない代物だが)を作って蛇の捕獲をしようとする。だが、それも失敗に終わり、専門家は大蛇に殺される。ところが主人公達の活躍によって、最終的に大蛇は倒された。それで街は平和になり、呑気な生活に戻る主人公達であったが・・・・。

スネーク                    「評価 C」

本作は、大蛇パターンであったキングコブラと違い、小さな蛇が大量発生する内容である。住宅地の開発地域に、蛇が頻繁に現れるようになった。その状況を危機視した主人公らは、町長らに開発の中止を訴えるが、彼らは聞く耳をもってくれなかったのだ。しかし蛇は、ついに住宅地に住む人を襲い始めたのだ!それを知った町長らは、開発を続ける代わりに蛇退治に協力する。という事で主人公達と和解。蛇の住みかである洞窟を発見した主人公らは、ついに共同で考えた作戦を実行する事にした。しかし、ヒロインが洞窟内に爆弾を仕掛けていたら、爆弾の操作ミスが発生。洞窟の入り口のほうに仕掛けていた爆弾が勝手に爆発してしまい、ヒロインは蛇の洞窟に閉じ込められたのだ!だが、主人公によって間一髪のところで助けられて、ようやく蛇の洞窟は爆破されたのであった。これで人々は安心し、平和に過ごすようになったのだ。蛇の洞窟の中に、生き残りの蛇がいる事を知らずに・・・。

パイソン                    「評価 C」

本作はキングコブラ同様、大蛇が暴れ回る映画である。軍事利用ができる無敵の蛇「パイソン」を積んだ飛行機が墜落。さっそく墜落した飛行機のパイロット達を食べたパイソンは、レズのカップル、不動産屋の親父などを次々と自慢の強酸で溶かしていくのだ!警察はそれを人間の手による殺人事件と勘違いし、主人公を逮捕するのが、パイソンを輸送した連中のはからいによって主人公は釈放。連中による、パイソン抹殺作戦が決行されたのだ!しかし、作戦はあっけなく失敗し、連中は蛇の専門家を残して全滅する。そして主人公の親友までもが、パイソンに殺されてしまったのだ!そこで主人公達と蛇の専門家は、町を守るために、パイソン退治に立ち上がった。蛇の専門家が死んだりして、戦いは熾烈を極めたが、結局最後にはパイソンは死に、町に平和がおとずれたのであった・・。

・・と、以上の3作である。こう比べてみると、どの映画も蛇映画でありながら、話の展開や設定が微妙に違っている。そして、面白い点も3作品がそれぞれ違うのだ。では、3作品をいろんな面から比較してみよう。

「蛇の専門家」
3作品のうち、頭がブッ飛んでいる蛇の専門家が登場するのは、「キングコブラ」と「パイソン」だ。両作品の専門家に共通して言える事は、どちらの専門家も蛇の保護を訴えている点である。だが、「パイソン」の専門家は軍事利用として蛇を利用しようと考えているのに対し、「キングコブラ」の専門家はなんと、大蛇を自分のコレクションにしようと考えているのだ!なんとワガママなジジイであろうか!こいつのせいで数人の人間が殺されたと思うと、腹が立ってしょうがない。更に「パイソン」の専門家が最後に改心したのに対し、「キングコブラ」の専門家は死ぬまで自分のワガママを貫き通してた。こんな点からしても、専門家のブッ飛び度、ブチキレ度は「キングコブラ」に軍配が上がるだろう。

「蛇退治シーンの見事さ」
この点から比較すれば、間違いなく「パイソン」に軍配が上がるであろう。捕獲を念頭にしていた「キングコブラ」は論外として、問題は「スネーク」である。洞窟を爆破するという、作戦としては非常にシンプルなのものなのだが、蛇の群れを退治する場合としては全く効果が期待できないと思うぞ。爆破というのは、やはり単体の蛇にのみ有効な作戦であろう。この両作に比べて「パイソン」では、最初の作戦は撃つだけのものであったが、2回目、3回目と失敗を重ねるごとによって作戦が洗練されていき、最後には「酸のタンクに蛇をおびき寄せて溶かす」という作戦で倒したのだ。おびき寄せる際に、多少行き当たりばったりな点もあったが、他の作品よりも効果的な方法として、評価できる作戦であろう。

「映画としての完成度」
3作品それぞれ、面白い(というより、馬鹿な)シーンは結構あるんである。「キングコブラ」で軍隊並みに武装した蛇退治集団が登場したと思えば、「スネーク」では殺人蛇の1匹を、住宅地に住む飼い犬が倒しちゃったりしている。そして「パイソン」では、飛行機に積まれていたパイソンが飛行機の壁を破り、なんと飛行機を墜落させてしまったのだ(なんてモロい壁なんだ)!他にも、この「パイソン」では、馬鹿警官の珍推理があったりと、馬鹿なシーンの数では圧倒的である。ところが、今回は完成度の比較という事なので、「パイソン」のそれらの馬鹿シーンは大きなマイナス点となってしまう。
いろいろ考えた結果、やはり完成度という点では「スネーク」が一番であろう。映画としての構成力は一番だし、なんていったってB級映画の悪い定番「美女の裸」は0である。でもこの映画、監督があのジョン・カーペンターである。他の2作品は無名の監督なのに対して、これは大きなハンデではないのか?とも考えたのが、「スネーク」にも馬鹿シーンは結構あるので、やはり同列に考えるべきであろう。という事になった。そんなわけで結論としては、「スネーク」が一番の完成度である。

以上、三作を3つの面から比較してみたのだが、蛇映画にもいろいろあるものだ。と感服してしまった。同じジャンルで同じ時代設定なのに、こんなにもバリエーションがあるとは!やはり、映画の数だけ監督がいて、脚本があるのだ。今回の比較は、そんな事を考えさせられるものであった。
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