ハウス・シャーク       「評価 C」

元警官のフランクは住宅地の一軒家で息子と2人暮らし。ある日彼はSNSで知り合ったケバイ女とデートに行くため、息子の世話をベビーシッターに任せて外出した。ところがデートで散々な恐怖を味わって帰ってくると、ベビーシッターが便器に引きずり込まれミンチにされているではないか。更に便器の中からは、サメの背ビレが!奴の名はハウス・シャーク。家の中に棲みついて住民を喰らう、ネットのごく一部で話題になっている恐ろしいモンスターだ。こんなのが家に住んでいたら、命が幾つあっても足りはしない。すぐさまフランクは家に住むのをやめ、息子と一緒に庭にテントを張って暮らすことにした。彼の話は当然誰も信じてくれず、元妻は息子の親権を奪い取らんとし、不動産屋は勝手に家を売りに出したが、命には替えられない。しかし数日後、不動産屋の紹介で家を見学にやってきたカップルがハウス・シャークに惨殺される事件が発生。フランクの証言が紛れもない事実であったことが示された。すると動いたのが不動産屋。手持ちの物件の価値を落としてはならないと、住宅診断士のダースを現地に派遣した。フォースの力を使いこなす屈強なアメリカ先住民だったが、余所見している隙にハウス・シャークに瞬殺。次いで派遣されたのが、酒浸りなヒゲ面の大男エイブラハム。彼は10年前にハウス・シャークに襲われた経験があり、奴を倒すことに異様な執念を燃やしていた。彼とフランク、そして自称サメ専門家のザカリーを加えた3人で手を結び、ハウス・シャーク退治を行うことになった。家に足を踏み入れて死闘を繰り広げる3人。しかしそんな中で、驚くべき事実が判明する。ハウス・シャークはザカリーが実験の失敗によって生み出した突然変異種であり、元はと言えばザカリーこそが全ての元凶だったのだ。そうと知ったフランクとエイブラハムは、ザカリーを檻に閉じ込めてハウス・シャークを誘き寄せる囮にしようとした。やがてハウス・シャークが出現し、ザカリーはシンクの排水口に引きずり込まれる。しかし彼は生きていた。ザカリーは見殺しにしようとした2人に怒り、逆襲を決意した…。

かの素人ホラー「悪霊のしたたり」「悪魔のえじき2」の製作に関わったロン・ボンクが監督と脚本を務めたサメ映画。冒頭のベビーシッター惨殺場面はなかなか過激なゴア描写で魅せてくれるものの、映画全体は腑抜けた雰囲気に満ちたダウナー系。癖の強すぎるオッサンたちがサメを倒す方法をダラダラ話し合う場面がひたすら続き、サメが襲いかかってきても緊迫感は皆無。おまけに2時間弱という異様に長い上映時間を明らかに持て余しており、間延びした場面がこれでもかと出てくる。観賞中の体感時間はかなりのものがあった。
それでも本作には嫌いになれない魅力があった。先述のゴア描写のみならず、こだわるべきポイントはきっちりこだわっている作りに何より好感が持てた。ハウス・シャークは実物大の巨大なハリボテを用意し、つぶらな瞳で口をガブガブさせる姿は愛らしさの塊。オッサンたちとじゃれ合う光景には心からほのぼのさせられた。また家が水没する場面では当然大量の水を用意しての撮影なんかできないので、水槽越しに撮影したり、オッサンがゆっくり動く映像を青く着色して揺らしたりと、涙ぐましい創意工夫が次々飛び出す。予算が無くとも創意工夫でやってみる、こういう気概は大いに評価できた。


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