シャークネードによって世界が壊滅。失意のどん底にいたフィンは未来からやってきたドルフ・ラングレン似の息子ギルに導かれ、遥か太古の恐竜時代にタイムスリップした。ギル曰く、滅んだ世界を救うには歴史を修正するしかない。修正とは即ち、地球の歴史の節目節目に発生していたシャークネードを撃滅するということだ。この壮大な計画のためにギルは時空を渡り歩き、勇敢な戦士を集めていた。その戦士とは、2で死んだブライアン、3で死んだエイプリル、5で死んだノヴァだ。彼らは死ぬ直前にギルの力でタイムスリップしており、恐竜時代でフィンの到着を待ち続けていた。仲間たちとの再会に驚くフィン。だが悠長に喜んでなどいられない。火山が噴火し隕石が降り注ぎ、海にはシャークネードが発生している。こいつを破壊しないと地球に未来は無いのだ。太古の地球にはチェーンソーも爆弾も無いものの、そこはシャークネード慣れした一行。プテラノドンを操ってシャークネードに隕石をぶつけ、空を泳ぐサメに大量の隕石を喰わせて爆弾にして易々とシャークネードを破壊してのけた。すると空に時空断裂が発生。フィンたちはプテラノドンに跨り、時空断裂に飛び込んで次の時代に向かって旅立った…。
カリフォルニアから始まり、ニューヨーク、宇宙空間、全米、世界各国とあらゆる地点を踏破した本シリーズ。横の線を制覇したならば今度は縦の線だ!というわけで色んな時代を旅してシャークネードとの連戦が展開する最終作。恐竜と闘うサメ、魔女と闘うサメ、ガンマンと闘うサメなど、相変わらずどうかしている映像が山盛りなのに加えて、本作は完結篇ということもあってドラマも充実。数多の屍の山を乗り越えてきたフィンたちは、明るく元気にサメを虐殺しつつも重い悲しみを背負っている。歴史改変という事象を通じて各キャラクターの内面を掘り下げたドラマは、シリーズの積み重ねが生きていて大変見応えのあるものになっていた。これまでの作品で強烈なインパクトを残しながら惜しくも散って行った者たちにスポットライトを当てて一花咲かせてくれる盛大なファンサービスにも感動を禁じ得ない。5からの脚本家交替によるウェットな味付けは、シリーズの有終の美を飾るために大いに功を奏していた。
一方でパニック映画としては、規模・描写ともに毎回物凄い勢いでインフレしてきたシャークネードが、今回は小規模シャークネードを各個撃破していくという構成につき大人しめなのが残念なところ。スケールの拡大は行きつくところまで行ったので今回はシチュエーションの変化&原点回帰で目新しさを狙ったという風情だが、折角のラストなのだからシャークネードにももう少し派手な見せ場を与えて欲しいという気持ちも否めなかった。