アラスカ北部にダークマターが衝突。地球を貫通して宇宙の彼方へと飛び去って行った。同時に地球全土で大規模な地殻変動が発生。ロス郊外の山で息子とキャンプをしていたマットはテントごと崖崩れに巻き込まれたが辛くも脱出。マグマや雷が襲い来る中、妻たちのいる市街地を目指して移動を開始した。一方の妻ジョアンナも娘たちと共に崩壊したマンションから抜け出し、夫たちと合流するために移動する。しかし市街地には30メートル級の巨大津波が接近しており、程なくして跡形もなく飲み込まれてしまう運命。山も危険、町も危険。最早ロスアンゼルスに、人間が生き残る場所は残されていなかった…。
シャークネードシリーズの脚本を書いているサンダー・レヴィン監督による複合パニック映画。あの狂気の極みのような脚本を書いた人間が監督したのだからさぞや常識破りな災害描写が見られるのかと期待に胸を膨らませていたら意外や意外、地球規模の災害という触れ込みながら災害描写自体は大人しめで、総じて地味な印象のパニック映画だった。冒頭のダークマター接近は人類が何の対策も打てず固唾を呑んで衝突を待つしかできない体たらくに加え、衝突の瞬間も宇宙から地球を眺めるだけで迫力皆無。その後の滑り落ちるテントからの脱出はなかなか斬新なシチュエーションで楽しめたものの、その後は取り立てて目を引く災害描写がなく、あまりにも盛り上がりに乏しかった。何より噴飯物なのが津波から逃れるためバイクでハイウェイを疾走する場面。渋滞する車の間をバイクが縫うように走行するのを追いかけたる撮影はなかなか格好いいが、問題は何故か反対車線でも車がワンサカ走っている点。道路を貸し切る予算なんかない製作側の事情が透けて見えて、物哀しさばかりが漂っていた。