ルイジアナ州のブラックブライア公園は、広大な沼地が広がる湿地帯。多くのワニが棲息しているが人間に危害を加えることは稀であり、近隣住民たちは沼で泳いだりワニ漁に勤しんだり生活の一部として利用していた。そしてこの日も、失恋したクリスが友人たちと共にクルージングに出発。これはワニ映画じゃないからとすっかり安心して沼に飛び込み、失恋のショックから立ち直ろうとしていた。しかしこの沼では昨日から、とある異変が起きていた。東南アジア原産の巨大雷魚・レッドスネークヘッド。人間を喰らう凶暴な奴が、輸送していたトラックの運転手を殺害して脱出。この沼を根城とし、ワニやワニ漁に出かけたオヤジたちを食い殺していたのだ。当然その魔手はクリスたちにも及び、慌てて陸地に逃げ出したクリスたちはとある民家に籠城する。周囲をレッドスネークヘッドたちが這う中、今後の策を練る一行。とそこへ、家の主のブードローさんが登場。ブードゥー教の祈祷師の血を受け継ぐ彼は、この災厄が祖先の祈祷師・マーガリートの呪いによるものだと告げる。マーガリートは村人たちに処刑されたことで沼に呪いをかけ、度々常識では考えられない災厄を引き起こしているらしい。そしてこの災難を止めるには、マーガリートの墓を見つけ出して埋葬されている心臓を砕くしかないと言うが…。
「アナコンダ3」「アナコンダ4」のドン・E・ファンルロイ監督による、「スネークヘッドテラー」と並ぶ世にも珍しい雷魚映画。レッドスネークヘッドはサメよりも一回り小さく、物凄いスピードで泳ぐばかりではなく陸地を蛇のようにニュルニュル這うことができるのが特色。捕食する光景がろくに拝めないのとなかなか全体像を見せないのが不満ではあるものの、グロテスクとユーモラスを兼ね備えたデザインはなかなか味わい深いものがあった。クライマックスで丸コゲにさける哀れな姿もまた魅力的。
ただこの映画、オカルト要素が完全に不要。冒頭から散々勿体つけて語ってきた割にはレッドスネークヘッドとの関連性は憶測の域を出ず、別にこの話が無くても映画が成立するのだ。おかげで尺稼ぎにしか思えず、話のテンポを悪くしていた。