2018                「評価 D」

戦国時代、天下統一の野望に燃えた武将・織田信長。彼が諸大名を打ち倒すことができたのには秘密があった。富士山の火口で作られた神秘の石ジュブツ。それを黒巫女ユカイから授かっていたのだ。ひとたびジュブツに触れて念じると、赤い雲が集まり天から無数の光線が降り注ぎ、敵地を瞬く間に焦土に変えてしまう。信長はこの圧倒的な力を以て次々と敵を払いのけていった。だが大きすぎる力は更なる欲望を呼び覚ますもの。不老不死を求めた信長はジュブツに生贄を捧げ、大いなる存在チカラを呼び寄せて願いを叶えようとした。しかしチカラは降臨するなり荒れ狂い、無数の光線を降らせて地上を焼き払った。これによって信長は死んだと伝えられている。そして現在、サンフランシスコのチャイナタウンで、ヤクザとマフィアによる怪しげな物品の取引が行われていた。情報屋の日本人カナから聞きつけたFBIのコールとマックは現場に突入。だが内勤ばかりで現場経験の薄いマックは犯人を押さえつけることができず、1つの古びた箱が謎の女に持ち去られた。女は逃げる際に、箱を開ける。すると上空に赤い雲が集まり、無数の光線が降り注ぎ、たちまちサンフランシスコは大惨事となってしまった。箱に入っていたものこそ、長年行方不明となっていたジュブツだったのだ。女は裏社会のドンのアレックスに仕えており、地上支配を目論む彼の命令によりジュブツを手に入れようとしていた。もしジュブツがアレックスの手に渡れば、地上は更なる惨事を迎えてしまう。情報屋カナからジュブツの存在を知らされたFBIは、ジュブツを確保するためコールやマックを中心とした特殊部隊を編成。アレックスの本拠地へと向かわせた。そしてカナもまた、彼らに同行する。何故なら彼女は織田信長の末裔。ジュブツを悪の手から守るために修行してきたサムライガールだった…。

信長が光線を放って敵地を焼き払う!この凄まじい光景と「黒巫女ユカイ」「ジュブツ」「チカラ」といったネーミングのインパクトに冒頭から昇天寸前。しかし困ったことに本作、この冒頭部分が作品のハイライトという完全な出オチ映画だった。「2012」っぽい邦題ではあるが、出てくる災害は天から降り注ぐ光線のみ。しかも遠景での破壊描写ばかりで迫力は皆無に等しく、パニック映画としてはまず楽しむことができない。またストーリーも著しくテンポが悪く、中盤では全く必然性のない裏社会同士の抗争を展開させてくれるし、敵の本拠地に突入してもなかなか戦闘が始まらずゲンナリさせられる。ほぼ全編にわたり展開するFBI捜査官たちの面白みに乏しい会話も退屈さに拍車をかけ、何とも味気ない映画だった。


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