フランスのリゾート地バニェール。美しい海岸に面し豊かな自然に恵まれたこの地に、フランソワ医師が娘と共にやってきた。知り合いの医師がしばらく病院を離れることになったので、留守を預かることなったのだ。ところがその矢先、病院の庭先で蜂の大群が発生。辛うじて難は逃れたものの、また蜂が襲ってくるようでは娘が安全に過ごせない。フランソワは独自に原因を突き止めようと、町はずれの養蜂場に赴いた。するとそこには、かつての患者クレマンティーヌが。彼女は養蜂家になり、蜂の交配により新種の蜂の開発に取り組んでいるらしい。しかし人間に危害を加えるような蜂は決して開発していないと主張しており、フランソワは彼女を信じて共に原因の調査にあたることにした。その後も町では蜂の被害が続発する中、2人は閉鎖された工場の存在に行き当たる。かつて川を汚染し、市長に操業を停止させられた工場だ。これが蜂の凶暴化と関連しているのでは──と考えたその時、娘から連絡が。友人と共に郊外に出ていた彼女は現在、無数の蜂に取り囲まれて絶体絶命とのことだった…。
美しいリゾート地を舞台にフランソワとクレマンティーヌの大人の恋愛を軸に展開する、フランスのお国柄全開な蜂映画。とは言え蜂の描写は凝っており、海を泳ぐ男のシュノーケルに蜂が侵入する地味に嫌なシチュエーションから、蜂に襲われた飛行機が墜落して「北北西に進路を取れ」よろしく突っ込んでくる大惨事までバリエーションに富んでいる。顔中を蜂に刺された人間の悲惨な姿をしっかり見せてくれるのは有り難いところだ。ガソリンスタンドに集団突撃する様は蜂の主観映像で、蜂が群がる家の中を歩く様子は防護ネット越しの主観映像でそれぞれ見せられ、臨場感ある描写もバッチリ。原因の究明をじっくり行う割には最終的な解決がナレーションで簡素に処理されるのには盛大にずっこけたが、良作と呼べる蜂映画だ。