スパイダー・パニック!2012          「評価 D」

中東の砂漠地帯で、米軍とゲリラが交戦。何台ものヘリを飛ばす米軍相手に奮戦するゲリラたちだったが、突如背後から巨大蜘蛛の群れが襲来してきた。奴らはラクダグモ。鋭い牙で人間を喰らい、地元民から砂の悪魔と呼ばれる凶暴な怪物だ。前門の米軍に後門の蜘蛛。思わぬ挟み撃ちにゲリラはたちまち全滅。ラクダグモに襲われた無惨な死体を目の当たりにし、米軍は戦慄するしかなかった。そして舞台は変わってアリゾナ州の田舎町。先日のゲリラとの争いで名誉の戦士を遂げた伍長の遺体が、スタージェス大尉らのトラックで運ばれていた。しかしトラックは交通事故に遭い、棺桶が外に投げ出された。すると棺桶の中から、何匹ものラクダグモが這い出してきたではないか!米軍は残忍な怪物を田舎町に呼び寄せてしまったのだ。ラクダグモはたちまち町の人間を次々と喰い殺し、穏やかな町は惨劇の場に変わり果てる。事態を把握したスタージェス大尉は生き残った民間人と協力して町からの脱出を図る…。

コーマン門下生ジム・ウィノースキー監督による巨大クモ映画。当然「スパイダーパニック!」とは無関係ではあるが、@舞台がアリゾナ州、Aトラックの積み荷が落ちたことが災難の始まり、B複数のサイズの蜘蛛が跳ね回って人間を襲う、C最後は軍隊が駆けつけて万事解決、と妙に似ている要素が散見されるのは本作が被せてきたのだろうか。
そんな本作、パニック映画としては極めて退屈な内容だ。ラクダグモが田舎町に出現してからの展開は一本調子で盛り上がりに乏しいし、登場人物の個性も薄い。ラクダグモに襲われる際のゴア描写はなかなか頑張っているものの、肝心の襲われる場面が「銃を撃ちまくるけど多勢に無勢で食い殺される」という状況ばかり何度も出てきて辟易させられる。「スパイダーパニック!」と似ている要素は多々あれど面白さでは格段の差が見受けられた。
しかし本作、ラストは気にいった。軍隊がラクダグモを退治して万事解決となったところで、場面は切り替わり田舎町のドライブイン・シアターに。すでにラクダグモに襲われ生きた人間の気配は無いのに、ポップコーンやフランクフルトの機械は休むことなく動き続けていて、映画の上映は続いている。必然性は全くない場面ではあるものの、日常が異変に塗り替えられるシチュエーションはとても味わい深いものがあった。


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