スパイダーパニック!          「評価 A」

アリゾナ州のとある田舎町。かつては鉱山で潤っていたこの町も、廃坑後はすっかり寂れて活気を失っていた。そんな地を襲った恐るべき災難は、1台のトラックから始まった。走行していたトラックの荷台からドラム缶が転げ落ちて湖の中へ。ドラム缶には化学薬品が詰まっており湖を汚染。するとどうしたことだろう。近場に棲息していた蜘蛛たちに異変が生じ、凄まじい速度で巨大化するようになったではないか。やがて人間を襲うほどに大きくなった蜘蛛たちは坑道を根城とし、町の人間を次々と糸で絡め取っては食い殺していく。かつて鉱山会社の御曹司だったクリスは巨大蜘蛛の脅威を目撃し、昔馴染みの女保安官サム、蜘蛛マニアの少年マイクらと共に住民たちをショッピングモールに避難させる。しかし巨大蜘蛛の軍勢は、彼らの想像を遥かに超える規模だった。圧倒的な物量はショッピングモールの封鎖を破り、住民たちに襲いかかってきた…。

ゴキブリ大発生映画「ブラッダ」のエロリー・エルカイェム監督が送り出した巨大蜘蛛映画の名作。ふんだんに予算が使われているだけあって巨大蜘蛛たちのビジュアルは申し分なし。ハエトリグモやタランチュラなど様々な種類の蜘蛛が巨大化した絵面は見ていて楽しいし、大量に群れを成して俊敏に跳ねながら襲い来る光景は見応え十分。そんな蜘蛛軍団と戦う舞台も、広大な荒野、民家の中、ラジオ局のトレーラー、ショッピングモール、坑道、と寂れた田舎町ながら変化に富んでいて飽きさせない。一方、大量の死人が出る割にはゴア描写も人体破壊も控え目で品良くまとまっているのは少々物足りないところ。しかし壁の裏でネコと蜘蛛たちが格闘して壁に蜘蛛の形が浮かび上がるなんて腑抜けたギャグが随所に炸裂するので、肩の力を抜いて笑いながら楽しむ作品と割り切れば存分に楽しむことができた。


TOP PAGE