地表を海が覆う未来、人類最強の武器はサメだった。独裁者イアン・フィエンはサメを操る技術を掌握し、逆らう人間をサメに喰わせることで破壊と略奪を繰り返していたのだ。今日もまた、イアンの部下スクリムが1つの海上集落を襲撃。刃向かう人間はサメたちに処刑され、女たちが奴隷として攫われてしまった。生き残った青年ティモールは幼馴染の少女ウィローを救出するべく、仲間と共に潜水艇に乗ってイアンの要塞を目指して旅に出た。道中、凄腕のダイバー、爆破マニアのメカニック、音波を探知できるソナー人間らと合流し、要塞に向かう一行。一方その頃、ウィローは処刑用の浮き輪に縛り付けられ、今まさにサメの餌食にされんとしていた。スクリムがサメを操り、ウィローに向かわせる。しかしどうしたことか、サメはウィローを襲おうとしない。実は彼女が父から貰ったペンダントには、サメを操る力が秘められていた。最強の武器がサメである世界、サメを制する者が世界を制する。今ここに、世界最終サメ戦争の幕が開いた…。
「シャークネード」シリーズのヒットで絶好調なアサイラム。続いて傑作「ラバランチュラ」をシリーズ化したのは当然の流れと言えるが、よもやお世辞にも出来がいいとは言い難かった「PLANET OF THE SHARKS 鮫の惑星」までシリーズ化してしまうとは誰が予想しえたであろうか。これでシリーズ化したことにより流れに乗って面白くなるかと言えばそんなことはなく、むしろ前作以上に退屈になっていたから困りものだ。ただ敵地に行ってヒロインを救出するだけなので前作よりもストーリーの変化に乏しいし、何より残念なのがサメの魅力の乏しさだ。サメの皆さんは自律意思を失い、パワーグローブみたいな装置で操られて完全に道具扱い。挙句の果てに爆弾を背負って特攻させられるカミカゼ・ザメなんて奴まで登場する始末。後半ウィローがサメを操る能力に覚醒しても、ウィローが操作を上書きするだけだからサメはどこまでも不憫な存在。あんまりな扱いに涙を禁じ得なかった。
本作の見所と言えば、アサイラムらしい腑抜けた要素が随所に炸裂している点だ。棒を押して円柱の周りをぐるぐる回る古典的な奴隷描写には癒されるし、せっかく主人公の背後から現れたのに勿体ぶった動きをするおかげで隙を作ってやられる敵幹部にはたまらなく脱力させられた。