バイキング・クエスト         「評価 D」

神々が人の世に干渉していた時代。バイキングのバーロク族とハーモッド族は古くから対立していたものの、それぞれの王の子どもたち、タシア姫とウルヴェン王子が結婚することで遺恨が解消されんとしていた。ところが婚礼の儀が行われていたときに、海の向こうからヴォルスン族が襲来。村は荒らされ、タシア姫が連れ去られてしまった。ヴォルスン族は大蛇ヨルムンガンドに目をつけられており、若い高貴な娘を生贄に捧げることで平穏を保ってきた。そして今度はタシア姫を生贄に捧げようとしていたのだ。バーロク族の青年エリックは幼馴染のタシア姫を救うべく、ウルヴェン王子や漁師の娘マニと共に船に乗ってヴォルスンの島に向かった。嵐の海を越えた一行は、兵士や狼たちとの激しい戦いを経て生贄の祭壇へ。そこには縛られているタシア姫、そして海の底から現れたヨルムンガンドがいた…。

「TATSUMAKI」「YOGAN」のトドール・チャプカノフ監督による北欧神話をモチーフにした英雄譚。パニック映画を撮らせたら後半尻すぼみになることで定評のある監督だが、パニック映画みたいな掴みとなる場面が存在しない本作の場合、尻すぼみどころか最初から最後まですぼみ通しな凄まじく味気ない仕上がりになっていた。ヨルムンガンドは全長何十メートルもの巨体を有し、人間を頭から丸呑みにするほか炎を吐くこともできる。しかし生贄が捧げられた時にしか出現しない上、殺す人間も最小限。巨体に見合った活躍を見せてはくれなかった。映画中盤には狼たちも出てくるが、こちらも「王族は襲えない」という制約つき。犬に極めて近い容姿も相俟って、とても猛威を振るうとは言えない状態だった。ヨルムンガンドの退治方法が割とよくある手段ながら神話との絡ませ方が秀逸だったのを除けば、あまり評価はできない作品だ。


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