スパイダー・シティ         「評価 C」

ルイジアナ州で地震が発生。揺れ自体は大したことなかったものの、近年のシェールガス採掘により地盤が弱くなっていたため随所に大きな裂け目が生じていた。州最大の都市ニューオリンズでも、ツアー会社の長男坊ポールが観光客たちを乗せたバスを運転していたところ、道路が地割れで寸断している場に遭遇。しかもその中から、巨大なクモが続々と這い出してきたではないか!地底深くに棲息し、人間を喰らう凶悪なクモ。そんな奴らに襲われ、たまらずポールたち一行は逃げ出した。市街地から川、そして森と移動する中、彼らは一匹のクモを捕獲。ツアー客に生物学者がいたことから、解剖して生態を解明することにした。その結果、女王グモを倒せば全てのクモが死滅するらしいことが判明。偶然近くに巣があり、そこで彼らは女王グモと遭遇。しかし女王グモは他の個体とは桁違いの大きさだった。銃弾もミサイルも通用しない巨体相手に、ポールは捨て身の戦法に出た…。

「フライング・ジョーズ」「ゴースト・シャーク」のグリフ・ファースト監督によるクモ映画。本作の地底クモは糸を吐いて獲物を絡め取る他、火を噴いたり水上を走ったり人体に卵を産み付けたりと多種多様な芸当を披露。特に卵の産み付けは人間の皮膚が膨れ上がって弾け飛ぶグロテスクなメイクが凝っていて見応えあった。
しかしこの映画、明らかにおかしい。一応脚本通りに撮影しているものと思われるが、撮影にあたって浮上する諸々の不都合な点についてまるで考慮された形跡がないのだ。例えば前半の市街地を逃げ回る場面では、クモたちに襲われるモブの一般市民が全くと言っていいほど登場しない。ポールたち一行を除けばショップの店員と警察官しか出てこず、車はたくさん停まっているのに通行人はおろか死体すら皆無。ゴーストタウンのような誰もいない町をバスで走り回る光景は何とも言えない不気味なものがあった。また後半で出動する軍隊も、効果のない攻撃を延々と繰り返すばかりか、民間人が武器を奪って最前線に現れてもまるで無反応という有様だ。脚本に沿った場面を淡々と撮影する、現場の無気力な風景が目に浮かぶ作りだった。


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