ザ・クロコダイル 人喰いワニ襲来          「評価 C」

杭州のワニ牧場。ここでは巨大クロコダイルのマオを筆頭に多くのワニが飼育されていたが、経営状態が悪化。餌も買えなくなったのでやむを得ず牧場は閉鎖され、ワニたちは売り飛ばされることになった。トラックで料理店に運ばれたワニたち。一匹ずつ屠殺され、美味しいお肉になる運命が待ち受けていた。しかしマオが殺される番になると、麻酔で眠っていたはずが突然起き上がって暴れ出し、フェンスを突き破って逃走。姿を眩ませてしまった。一方その頃、イタリア帰りの女が大金の入ったバッグを持って茶畑を歩いていた。とそこにマオが出現。女は咄嗟に電柱にしがみついて死なずに済んだものの、大事なバッグが喰われてしまう。長年稼いできたお金をワニに奪われるわけにはいかない。女はワニ好きの少年やその父親の警察官を巻き込んで、マオの追跡を開始した…。

平和な田舎町での騒動をコミカルに捉えた中華産ワニ映画。主役のクロコダイルは美麗なVFXで描かれており、重量感も躍動感も満点。家屋に侵入して壁や床をメリメリ破壊する姿はなかなかの見応えがあった。しかしワニの迫力に反して、映画全体は極めて呑気な雰囲気。頻繁にマイペースな人々によるコントのようなやりとりが挟まれるし、欲望に剥き出しな連中も抜けていて憎みきれないように描写される。更に人間とワニとの対決を軸としながらも、ワニ自身がそこまで獰猛ではなく女子供を殺そうとせず、人間側もワニから逃げ惑う者よりも金や友情のためワニを追う者に焦点が当てられる。捕食場面もアッサリ目で、パニック映画としては喰い足りない仕上がりだ。でもこの長閑な雰囲気が癖になるから嫌いになれない作品だった。


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