動物学者のロジャーは妻子を連れて、アラスカ州の田舎町ペンバートンにやってきた。息子のジョーダンは初めこそ乗り気でなかったものの、すぐに宿の娘クレアと仲良くなって満更でもない感じに。これで心置きなく研究に打ち込めると思われた。ところがいざ近隣の森で調査を始めると、多数棲息しているはずのクロムクドリモドキがまるで見当たらない。不審に思ったロジャーは環境学者のヒューズ博士と共に山奥の気象観測台に向かったところ、驚くべき事実に行き当たった。超低温であらゆる生物を死滅させる、局地的な大寒波。それが数十分おきに発生しながら徐々に勢力を広げ、このままではペンバートンの町を、果てには北米大陸全体を巻き込もうとしていたのだ。2人は直ちにこの事態を広めようとしたが、観測所は超低温の影響で一切の電波が届かない。ヒューズは何とか外部と通信するため、そしてロジャーは妻子や町の人間を救うため、それぞれ動き出した…。
プライムウェーブ配給の低温パニック映画。プライムウェーブ御用達の「サイレント・ワールド」ではなく元ネタの「デイ・アフター・トゥモロー」を邦題に持ってきたのが不思議だったものの、実際に観賞して納得。本作は「デイ・アフター・トゥモロー」にあって後続作品にあまり見られなかった、「周期的に超低温が押し寄せる」要素を大いにクローズアップした内容だったのだ。数十分おきに大寒波が襲い、外にいたら即凍死。その合間を縫って安全な場所に移動しながら嵐の外を目指すという「ダルマさんが転んだ」みたいなタイムサスペンスが貫かれ、映画全体を大いに盛り上げていた。また家族たちを救出しようとするロジャーの他に「外部に災害を伝える」ヒューズ博士の存在を置き、地球規模の災害を狭い範囲で描写することに明確な意義を持たせているのも好印象。そして災害描写では、パニック映画に出てきたら転がって破壊の限りを尽くすのが定番の観覧車がひしゃげて崩れ落ちるのが新鮮だった。ただし本作、町が凍りつく描写は多々あれど、肝心の人間が凍る描写はごくごく僅か。主人公家族が「外は危険だ」と警告したのに対し「外が寒い?そんなの俺たちは慣れっこだぜ!」と耳を貸さなかった連中が阿鼻叫喚の目に遭う光景も映し出されず、溜飲を下げられないのは不満だった。