ビラボン               「評価 C」

オーストラリアの田舎町。長年故郷を離れていたニックが、異母弟のトリスタンからの連絡を受けて久方ぶりに戻ってきた。なんでも先日亡くなった祖父が2人に宛てて書いた手紙が届いてきたらしい。祖父は未確認生物の研究に取り組んでおり、手紙には研究を手伝ってくれたアボリジニに土地を譲るように書いてあった。しかし一方で、リチャーズという男が開発のために近隣一帯の土地を買い占めており、ニックたちの家の土地も破格の金額で買い取りたいと申し出ていた。もしリチャーズに売り渡せば、今後生活に困ることはない。祖父の遺志か今後の生活か、判断に悩み一旦保留する兄弟。ところがそんな時、家の近くの湖では不気味な気配が蠢いていた。祖父が研究していた、アボリジニの伝説に出てくる水陸両生の怪物バニヤップ。長年湖に封印されていたそいつが完全な蘇生を遂げるため、湖に接近した女性たちを悪霊に変えていたのだ。やがてニックの昔馴染みアーニャまでバニヤップの魔の手にかかってしまう。更に祖父に協力していたアボリジニたちや、バニヤップを捕まえて一攫千金を目論んでいたリチャーズたちまで乗り込んできて、事態は一段と混迷を極める。そんな中でニックはアーニャたちを救うべく、バニヤップの棲家に足を踏み入れた…。

未確認生物を題材に扱った映画は数あれど、世にも珍しいバニヤップ映画の登場だ。バニヤップは身長3メートルほどで、二足歩行する口の小さいクロコダイルといった容貌。カンガルーを食い殺し、アボリジニのブーメランや笛の音が苦手という、性質から行動までオーストラリアらしさ全開。郷土色の塊のような怪物だ。夜中に行動するものだからなかなか全体像を現さず焦らされるものの、後半で明かされる姿はなかなかの格好よさで好印象だった。
しかしこの映画、上映時間が2時間弱もあるくせにバニヤップの出番はそれほど多くない。人間同士のいざこざにかなりの尺が割かれており、しかもそれが大して面白くないから水増ししている印象が拭えなかった。


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