メイン州のブラック湖。人喰いワニを飼っていた老婆姉妹が亡くなり平和を取り戻したこの場所に、新たな家族が引っ越してきた。老婆の甥っ子のネイサンとその妻子だ。2度も惨劇を巻き起こした姉妹の血縁者とは言えど、ネイサンにもその妻スーザンにもワニを飼う趣味は無し。すぐに町の生活に馴染んでいった。しかしただ一人、息子コナーだけは友達もできず、忙しい両親に相手をしてもらえず孤独な毎日。そんなある時、コナーはブラック湖で小さなワニを発見した。湖のワニは死に絶えたはずだったが、川の上流から流れ着いてきたのだ。コナーは淋しさを紛らわすため、ワニに餌付けをするようになった。それから2年。ワニたちはすくすくと成長し、野生動物や飼い犬、果てには人間まで食い殺すようになった。もちろん町は大騒ぎ。事態を把握したネイサンとその家族は、団結してワニに立ち向かう…。
今度は子どもがワニを育てて騒動を巻き起こす、「U.M.A」シリーズ第三弾。VFXのクオリティは前作と大差ないとは言え、水中から飛び出してボートを粉砕する様を真上から捉えたショットは迫力満点。湖畔に転がる生首、一瞬で首が無くなる、といったゴア描写もきちんと用意されていて嬉しかった。また主題となる家族のドラマも見物だ。息子が孤独を慰めるためワニを飼っていたことを知ってバラバラだった家族は一致団結。母がチェーンソーを持ってきて、息子が石を投げて牽制。そして父がチェーンソーで尻尾を切断する連携プレイを披露するのがとても胸に染みた。
一方でこの映画、シリーズのウリだったコメディ要素が大きく薄れ、凡庸なパニックホラー然としているのは残念なところ。中途半端に群像劇の体裁をとっているのもかえって平坦さに拍車をかけていた。