「ラバランチュラ 全員出動!」で落ち目の映画俳優コルトンがロスアンゼルスを救ってから早1年。あの日を契機にコルトンは確かに英雄になったものの、俳優業では相変わらずろくな仕事には恵まれず、今日もフロリダでコメディ映画のアホな警官を演じていた。すると撮影の合間、コルトンのクレジットカードが使用停止になっていることが判明。継娘のレイヤが親のカードを使ってフロリダのリゾート地、フォートローダーデールに遊びに行っていたのだ。コルトンはすぐにレイヤに電話するが、ビーチで寛いでいたレイヤは実の親じゃないコルトンにけんもほろろ。しかしそんな時、事件が起こった。突如フォートローダーデールの大地が揺れ、無数の火山弾が噴き上がった。ビーチに落ちた火山弾からは、ラバランチュラの御登場だ!溶岩を噴き出して観光客を次々焼き殺すラバランチュラの大軍団。レイヤは友人と共に命からがら逃げだすが、ラバランチュラは都市の至る所に出現しており逃げ場はない。一方コルトンは継娘の危機を察知し、こうなったら撮影どころじゃない、と撮影用のヘリを拝借してフォートローダーデールに乗り込んだ。途中ラバランチュラの大群と戦いながら、車、ボート、別のヘリを乗り継いで、大学にいたレイヤと無事再会。後は前回のように女王サイズのママランチュラを倒すだけ…と思いきや、今回のラバランチュラ軍団は一味違った。ロスアンゼルスのママランチュラよりも遥かに巨大な、ガルガンチュランチュラが出現したのだ。スタジアムを一跨ぎにするサイズのガルガンチュランチュラは防御も鉄壁。全身から絶えず高熱を放っているためミサイルを放っても着弾前に爆発して効き目がないときたもんだ。こんな強大な敵に対しコルトンは、とんでもない作戦を立案する…。
今度はフロリダでラバランチュラが大発生する「ラバランチュラ 全員出動!」の続編。ラバランチュラは尻から針を飛ばす新機能を搭載し、走って逃げても安心できない仕様にパワーアップ。しかしそれ以上に恐ろしくなったのが人間側で、前回の教訓を活かして巨大な銃火器やら液体窒素を使った冷凍銃やら何らかの秘密兵器を自前で用意していて、襲い来るラバランチュラをガンガン駆逐していくのだ。そんな人間たちを前にしては針飛ばしなんて焼け石に水状態で、次々凍らされては車に轢かれていく姿は何とも物哀しいものがあった。大量のベビーが体内から湧き出てくるのも前作の二番煎じだし、クライマックスで登場するガルガンチュランチュラもサイズが大きすぎて市街地を駆け回れず、ほぼ固定砲台状態で魅力に乏しい。ただ退治方法に関しては空想特撮シリーズみたいな感じで、一捻りしてあって見応えがあった。
また脚本も前作に比べるとパワーダウン。前作の大黒柱「落ち目のヒーロー映画俳優が本物のヒーローになる」の代わりとしては、今作の「継娘に父親として認めてもらう」はあまりにも弱い。おかげでコルトンの活躍する姿にカタルシスを見い出せず、それどころかマッチョな振る舞いが鼻につくようになってしまった。前回は本人が惨めな境遇だったから英雄然とした態度が笑いに繋がっていたけれど、本当の英雄となってはそれが鬱陶しく感じられる。随所で繰り広げられるアンニュイな会話は結構楽しめるけれど、前作が凄すぎたためにどうしても見劣りしてしまう作品だ。