遥か銀河の彼方を、囚人護送船が航行していた。運ばれているのは3人の女囚、ティール、ジェイダ、デイン。彼女等はてっきり監獄に送られるのかと思いきや、どうやら船長ザンターらの話によると何処かの宇宙人に売り飛ばされてしまうらしい。そんなことされてたまるか、と3人は喧嘩を装って看守に電磁バリアを解除させると、看守を気絶させて逃走。小型艇に乗って、護送船から脱獄を果たした。しかし彼女ら3人にとって、本当の地獄はここからだった。小型艇は付近の惑星の引力に吸い寄せられて不時着。そこは地球によく似た自然豊かな惑星ヴァクシス。一見すると楽園のような星だが、その正体は類人猿たちの流刑地だった。メスはとうの昔に死滅したものだから、女に飢えたオス猿たちが子孫繁栄のために女囚たちに容赦なく襲い掛かる。おまけにザンターが女囚たちを追って惑星ヴァクシスに向かう。かくして穏やかな惑星を舞台に、女囚と類人猿とザンターの三つ巴の闘争の幕は切って落とされた…。
「フランケンジョーズ」のマーク・ポロニア監督による猿の惑星モドキ映画。やはりマーク・ポロニア作品なのでVFXのクオリティは推して量るべし。凄まじく雑な合成による爆発や銃撃エフェクトが目白押しで徹頭徹尾脱力させてくれた。脚本もVFXに一歩も引けを取っておらず、猿のマスクをかぶった汚い格好のオッサンが野山をウロウロしながら女囚を奪い合う様子が延々と展開する平坦極まりないもの。女囚映画なので定番のキャットファイトはあるけれど、2回とも看守を騙すためのもので描写は大変アッサリしたもの。そのくせ猿同士の取っ組み合いという画的に全然嬉しくない場面はじっくり見せるという、サービスの方向性を履き違えた内容に頭が痛くなってくる。
しかしこの映画、終盤のぶっ飛んだ展開には驚かされた。宇宙船がブラックホールに呑み込まれて万事休すと思いきや、どんどんスケールが大きくなり悪趣味の度合いが増していく物語には単なるオリジナルの亜流に終わらせないという強い気概が感じられた。またタイトルクレジットが出るタイミングも、地中に埋まった類人猿の石像を発見するという「猿の惑星」の自由の女神を彷彿させる箇所で工夫の跡が覗えた。あまりにも退屈ながら、嫌いにはなれない作品だ。