遥か銀河の彼方よりやってきた一隻の宇宙船。目的はもちろん地球の攻撃だ。奴らは早速地球めがけて球状のメカを投下。太平洋に沈んだメカはサメに発見されて瞬く間に丸呑みに……と次の瞬間、サメの全身が機械に変貌。恐るべき侵略兵器・ロボシャークが誕生した。ロボシャークは米軍の原子力潜水艦を発見するなり鋭い牙で外壁をぶち抜いて粉砕。更にアメリカ西海岸では着水間際の飛行機を破壊。このままでは米国の威信にかかわる、ということでネイサン率いるネイビーシールズはロボシャークの目撃情報があったシアトルに集結。秘密裏に奴の討滅に乗り出した。一方、TVレポーターのトリッシュは大雪の取材に向かう途中、公園に海軍が集結しているのを偶然発見。重大な事件の匂いを嗅ぎつけた彼女等は取材予定を急遽変更。密かに公園を見張ることにした。だがその矢先、コーヒーを買いに行った店が大爆発。水道管内に潜んでいたロボシャークが地面を破り、コーヒーショップを破壊したのだ。トリッシュは床下から巨大な何かが飛び出すのを目撃していたが、TV局の上司を含めて誰も信じてはくれない。そこで独自に事件の真相を負うことにした。SNSを使いこなす娘メロディの協力もあり、ロボシャークの出現場所にいち早く辿り着いては映像を配信するトリッシュ。たちまち事件は明るみに出て、ロボシャークの出現場所では迅速な避難が行われるようになった。そしてSNSで情報を拡散することは、思わぬ効果をもたらした。なんとロボシャークがメロディのアカウントをフォローし、彼女との交信を始めたのだ…。
これは驚いた。「エイリアン・ゼロ」「巨大毒蟲の館」「人喰い怪物ゴブリン」と、お世辞にも質が良いとは言えないモンスターパニックを量産していたジェフリー・スコット・ランドー監督が、よもやこんな傑作を撮ってしまうとは。元来の特徴だったモンスターに対するマニアックな拘りが尖鋭化し、SNSを通じて人間と会話するという新しすぎる要素を搭載。会話による融和共存の可能性を示唆したSNS時代の「未知との遭遇」に脳味噌筋肉なネイビーシールズが市民の被害を顧みず殲滅を図る風刺要素がバッチリはまり、バカバカしくもSF的深みを感じさせる奇蹟のような作品が完成してしまった。チープな映像に開き直ってコメディ路線に転換したのも大正解で、先述の風刺ネタの他にも、汚水タンクが爆発して糞尿まみれになる小学生ギャグ、出現座標が「THX-1138」という映画ネタ、ビル・ゲイツのそっくりさんがロボシャークに引きずり回されて食い殺される強烈な絵面等々、笑いの幅が広くてとにかく楽しい。ラストもお約束ながら続きを見たいと思わせる絶妙なチョイスで、監督の一味違うセンスが炸裂していた。