北極海。氷の上に設けられたオアシス基地では、温暖化の進行状況の調査が行われていた。しかしある日、近辺でハンターが行方不明になったとの連絡が入る。トレイシーたちが捜索に赴いたところ、そこでは北極海では棲息できないはずのサメが、大群を成して海を泳ぎ回る光景が広がっていた。温暖化の影響で暖流が流れ込み、氷の中に200万年閉じ込められていたサメたちが復活を遂げてしまったのだ。命からがら基地に逃げ帰るトレイシーたちだったが、サメたちは氷上の動物や人間に見境なく襲い掛かり、やがて基地の周辺の氷を破壊。基地は深海30mへと沈んでしまった。海水は流れ込んでくる。酸素は残り僅か。周囲の海はサメだらけ。頻繁にサメが体当たりをかましてくるから基地は長く持ちそうにない。この最悪の条件下で、海底から生還するためのサバイバルが幕を開けた…。
原題が「ICE SHARKS」だけど「アイス・ジョーズ」とは一切関係はない、アサイラム社謹製の極寒サメ映画。映画冒頭、疾走する犬ソリの真正面に出現して犬とハンターを最前列から順番にバリバリ食い殺していく凄まじい映像で掴みはバッチリ。その後も右足を食われた男の断面をじっくり映す悪趣味なカットが出てきて期待を高めてくれる。が残念なことにこの映画、サメによる豪快な虐殺が拝めたのはここまで。中盤以降は「海底47m」を先取りしたような海底からの脱出サスペンスに移行するものの、水中での襲撃シーンは陸上のそれに比べると格段に地味で大きくトーンダウンしてしまった。脱出劇も危機感を煽る間もなく事態が転がっていくので緊迫感に乏しく平坦な印象。後半は退屈こそしないが取り立てて目を引くところもない、何とも困った内容となっていた。