アイス・ジョーズ             「評価 D」

マンモス・マウンテン。かつて開拓民が先住民を虐殺した負の歴史を持つこの山も、今となっては平和そのもの。開設されたスキー場には春休みになると大勢の学生たちが押し寄せ、大変なにぎわいを見せていた。ところがこの年のスキー場は少し様子が違った。遊びに来た人間が忽然と姿を消す事件が続発していたのだ。海兵隊員のウェイドも弟がいなくなったのに、監視員は「どこかで遊んでいるのだろう」と捜索に乗り気でない様子。心配になった彼は独自に山の中の捜索を開始した。その間にも行方不明者の数は増え、探す人間もまた増えていく。やがて彼らは、雪山に潜む恐るべき脅威を目の当たりにする。サメの亡霊のような怪物が雪の中を泳ぎ回り、人間を捕食していたのだ。この怪物こそ、開拓民に仲間を殺されたシャーマンが復讐のために呼び寄せた山の神スカッカムだ。山奥のトーテム像に封印されていたそいつらが、数日前の雪崩で像が倒れたことにより復活。人間や犬を片っ端から食い殺していたのである。ウェイドたちはスカッカムの存在をスキー場の人間に知らせるが、当然の如く信じてはくれない。そうこうしている間に奴らは雪崩に紛れてスキー場を急襲。瞬く間に大勢の死体が転がる惨劇の場と変わり果てた。ウェイドたちは武装して抵抗するものの、神であるスカッカム軍団にはあらゆる武器が通用しない。封じる術を知るのは、シャーマンの末裔のみだった…。

「ビーチ・シャーク」の製作に携わったスコット・ホイーラー監督による、「ビーチ・シャーク」の雪山版。雪の中をサメが泳ぎ回り、人間が立っている真下からも攻撃できるのが特色。そのため足下から急襲というパターンがやたら多いのは気になるけれど、喰われて足首だけが残る、下半身を失って痙攣する、除雪中に下から出てきたサメに喰われて除雪機だけが前進する、など殺され方は結構悪趣味で楽しめた。また「雪山だと水着美女が見れないじゃないか!」という批判を想定してか、美女たちはビキニ姿でスキー場に現れたりジャグジーに浸かっていたりときっちり肌色成分は確保。舞台は雪山でもサメ映画の醍醐味はそれなりに味わうことができた。
しかしこの映画、「ビーチ・シャーク」に比べて大きく見劣りする点があった。それは脚本だ。無駄に多い登場人物を全然整理しきれずに雑に片づけていく杜撰な出来で、登場人物の役割配置に一捻りしてあった「ビーチ・シャーク」には遠く及ばない。またサメが霊的存在という設定につき退治のカタルシスが味わえず、主人公たちの与り知らないところで事件が解決するのも味気なく、あまり評価はできない作品だった。


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