シャーク・ウィーク          「評価 C」

キャルたち8人の男女が、突如何者かによって誘拐された。目を覚ますと、そこは知らない孤島。麻薬ディーラーのティブロンとその情婦、そして無数のサメが棲息する死の世界だった。生きて島から脱出するには、ティブロンが仕掛けたサメと死のトラップを突破しなければならない。訳も分からぬまま最初のトラップ、サメの首についた鍵を奪ってプールの中の鉄格子を突破。しかし日を重ねるにつれてトラップは苛烈に、サメは凶暴になっていく。そんな中、互いの顔も知らなかった彼らは1つの共通点に思い当たる。救命士、検事、判事、捜査官、保険屋とバラバラの職業についていたが、皆がティブロンの息子の死に何らかの形で関わっていたのだ。ティブロンの目的が復讐と分かった一行は、次々と犠牲者を出しながらも仕掛けられたトラップとサメを突破。やがて最後の試練、「救命ボートに乗ってホオジロザメの泳ぐ海を突破」に辿り着いた…。

孤島で死のサバイバルを繰り広げる、アサイラム社による「シャーク・ナイト」便乗映画。ハッキリ言って出来は拙いの一言だ。多種多様なサメが出てくるのに肝心の襲撃&戦闘シーンは人間とサメがろくに絡まない貧相な映像でゲンナリさせてくれるし、主人公たちの正体についても驚きの類は味わえず物語を牽引する要素としては弱く感じられる。
しかしこんな作品だからこそサメ愛を炸裂させ甲斐があるというもの。本作のティブロンは熱狂的なサメマニアという設定で、サメを肉食動物の完成形と信じて疑わない。でも孤島内のサバイバルとなれば主人公たちは大部分を陸上で過ごすことになり、サメの出る幕は無くなってしまう。なので出来る限りサメを活躍させるため、主人公一行が内陸を歩けば用意してあった落とし穴でサメの住む地底湖に御案内──といった具合に大変強引な手段を駆使してサメの見せ場を作り出していたのだ。
また本作、本家「シャーク・ナイト」よろしくサメのウンチクが随所に散りばめられているのも嬉しいところ。サメは泳ぐときに呼吸するから動きを止めれば溺死する。ほとんどのサメ被害が水深1メートル以内で起きる。感覚器官を撫でたらサメは大人しくなる。イタチザメは人肉のためなら平気で真水を泳ぐ。真偽はともかくとして、サメ映画好きには大変興味深い内容ばかりでとても楽しんで鑑賞することができた。全体的に稚拙ではあるものの嫌いになれない作品だった。


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