ロスに続いてニューヨークも救ったフィン。このたびホワイトハウスにてその功績を称えられ、大統領からはアメリカ自由勲章を、ニューヨーク市長からは黄金のチェーンソーを授与された。しかし浮かれてもいられない。幾度もの闘いによって培われた直感が、フィンの脳裡にシャークネードの到来を告げていたのだ。嫌な予感はズバリ的中し、間もなく過去最大級のシャークネードがワシントンに発生。無数のサメが降り注ぎ、記念塔を、議事堂を、ホワイトハウスを、容赦なく破壊する。フィンは大統領と共に機関銃を乱射してサメの大群を蹴散らし、無事に崩壊するホワイトハウスからの脱出を果たした。だがこれで一件落着とはいかないのがサメ映画。異常な低気圧により発生した壁雲がアメリカ東海岸を覆いつつあり、このままでは東海岸全ての地域がシャークネードの恐怖に見舞われることが予想された。折しも妻エイプリルたちは、フロリダ州オーランドのユニバーサルスタジオでバカンス中。心配になったフィンは東海岸を南下することにした。道中、シャークハンターとして覚醒したノヴァたちと合流したフィンは、軍の基地で戦闘機を借りて無事オーランドに到着。ユニバーサルスタジオを襲うサメの大群も血祭りにあげ、家族との合流を果たした。あとはシャークネードを生み出す巨大壁雲の始末だが、サイズがサイズなので並の爆弾程度じゃどうにかなりそうもない。そこでフィンは元宇宙飛行士の父親ギルバートと連絡を取り、NASAの施設にやってきた。スペースシャトルを宇宙に飛ばし、ロケットエンジンの炎で壁雲を消滅させる作戦だ。途中で壁雲の接近によるサメの妨害があったものの、フィンとエイプリル、そしてギルバートを乗せたシャトルは地上を離陸。凄まじい火柱を噴き上げて宇宙空間に飛び出した。これにて万事解決と思いきや、壁雲の大きさはフィンたちの想像を遥かに超えていた。ロケットの炎を以てしても、その全てを消滅させるには至らなかったのである。絶望するフィンたち。しかしギルバートには、更なるプランがあった。アメリカでかつて構想されていたスターウォーズ計画。これは密かに継続されており、レーザー兵器を搭載した人工衛星が今も地球の衛星軌道上を飛んでいた。それを手動で作動させ、壁雲を消滅させようというのだ…。
前作で地球上のあらゆる場所でサメに襲われる可能性を突き付けた本シリーズ。もう逃げる場所は宇宙しかないだろう──と思っていたら本当に宇宙まで行ってしまった第3弾だ。サメの脅威を退けるために宇宙に飛び出すだけでも前代未聞だというのに、宇宙空間でのサメとの闘いを筆頭に怒涛の如く詰め込まれた悪ノリにも程があるアイディアの数々。このラスト10分の狂気に溢れた濃密さはシリーズ随一だった。そして本作、冒頭のワシントン壊滅も素晴らしいの一言。降りしきるサメが砲弾の如く石造りの建物を崩していく光景の衝撃もさることながら、それに挑む人類側も歴代大統領の肖像画を踏みつけてサーフボードにしたり石膏像をサメに叩きつけたりと不謹慎感抜群。挙句に硫黄島の国旗ネタまでぶち込んでくるふざけ加減がたまらなかった。
でも冒頭と終盤は最高に楽しいのに、その間の部分はマンネリ故の低調さが気になった。溜めの部分と言ってしまえばそれまでだが、中盤の山場となるユニバーサルスタジオ襲撃において過度に無茶な真似ができなかったのは残念。市民の決起要素が薄くなりTV番組の使い方に芸がないのも物足りない。ただアサイラム仲間のトリプルヘッド・ジョーズさんがゲスト出演するのは嬉しかった。