シャークトパスvs狼鯨           「評価 B」

爆死したはずのシャークトパスが、ドミニカ共和国の港町に出現。酒飲み船乗りのレイと相棒パブロが操縦する船で葬式が行われていたところに乱入し、棺桶と参列者が食い殺される大惨事となった。町を支配するブードゥー族のタイニーはそれを知り、「シャークトパスの心臓があれば最高の媚薬が作れる」ということでレイとパブロにシャークトパスの退治を命じる。人形を使ったブードゥーの呪いを操るタイニーに逆らうことはできず、2人は知り合いの婦警ニータと共にシャークトパス退治に乗り出した。一方その頃、同じ町で若返りの研究をしているラインハルト博士のもとに落ち目の野球選手ローサがやってきた。全盛期の肉体を蘇らせたいローサだったが、実はこのラインハルト博士、完璧な人間を生み出すために改造人間の素体を求めているとんだマッドサイエンティストだった。妖しげな光線を浴びせられ苦しんだ果てに心臓が停止するローサ。死んだと思われ一度は海に捨てられたが、肉体が突然変異を起こしてオオカミとシャチ(キラーホエール)のハイブリッド生物ホエールウルフとなって甦った。かくして穏やかだった港町は、二大海洋モンスターによるビュッフェ会場に変わり果てた…。

軍需産業絡みの前二作とは打って変わって、小さな町の一個人の手で怪物が誕生するマイクロスケールな三作目。空と海の恐怖描写で兵器としての魅力を振りまいていたプテラクーダとは対照的で、本作のホエールウルフは元が人間というのもあってやたら生物感が強いのが特徴だ。シャチとオオカミの合成という触れ込みだけどその挙動は明らかに犬そのもの。叱られてクゥ〜ンと落ち込んだり、転がるボールに視線を奪われたり、筋骨隆々な逞しい外見とは裏腹の可愛らしい仕草にハートを鷲掴みだ。陸上でのメイン武器が前肢から繰り出されるパンチ連打という、オオカミからもシャチからも遠い感じなのもたまらない。そして相方のシャークトパスも負けじと、歯を掃除、頭を掻く、握手などのコミカルな動きを披露して可愛いさアップ。最早緊迫感なんて欠片もないけれど、開き直った作りがとても楽しかった。


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