シャークネード            「評価 A」

地球温暖化の影響で、メキシコ沖に巨大ハリケーン「デビッド」が発生。ただでさえ大変な事態なのに、その海域には2万匹ものサメが棲息していたから大変だ。ハリケーンによって発生した巨大竜巻が、舞い上げられた大量のサメと合体。近づいたら食い尽されて骨も残らない恐怖の竜巻・シャークネードと化していたのだ。このシャークネードの前には、人類など無力に等しい。「サメを怖れるな。サメが俺たちを怖れるんだ」という至言を放ったサメ漁のプロフェッショナル・サンティアゴさんですら、空に巻き上げられては自慢のサメ漁の道具も使えず、敢え無くサメたちの胃袋に収まってしまった。そんなシャークネードは北上を続け、いよいよカリフォルニアに上陸。普通なら「高波が来るぜ、ラッキー!」とニッコニコのえびす顔なフィンたちサーファー連中も、波と一緒にサメが押し寄せてくるとなっては話は別だ。噛まれ喰われの大騒ぎを目の当たりにして、泡を食って退避。海辺の店に集まり、嵐が過ぎてサメがいなくなるのを待つことにした。だがハリケーン&サメの脅威は、彼らの想像をはるかに超えていた。恰も人間のサーファーに挑戦するかのように、巨大なサメが高波に乗って店に襲来。壁をぶち破り店内を滅茶苦茶にされたとあっては、とても避難どころではない。店を出て、波とサメの複合技で破壊される海岸から命からがら脱出した。どうやらハリケーンは今後、サンタモニカを直撃するらしい。サンタモニカに暮らす元妻と娘が心配になったフィンは、仲間と共に車を走らせることにした。波をかぶり、冠水した市街地。上下前後左右からの幾重ものサメの襲撃を、波の動きを読むサーファースキルで辛うじて回避。何とか元妻たちと合流した彼らは、巨大な3つのシャークネードによる被害の拡散を食い止めるため一転攻勢に出ることにした。シャークネードの中心部に爆弾を投下して、竜巻を打ち消そうとしたのだ…。

御存知アサイラム社の大ヒットシリーズの第一弾。アサイラムの三種の神器「安いVFX」「緊張感のない脚本」「何でもやってみる挑戦精神」、それとサメ映画&ハリケーン映画の可能性を突き詰めた全部盛りシチュエーションが奇蹟的シナジー効果を発揮した傑作だ。タイトルロゴを竜巻が破壊する映像、そして空に巻き上げられた船長が全方向からのサメの襲撃で全身を喰われる素晴らしすぎる映像でもう期待は最高潮というもの。サメが海水浴客を食い殺しガスボンベを咥えさせられ爆死する「ジョーズ」リスペクト要素と、安全なはずの陸の上までサメが押し寄せる定番崩しが程よいバランスで盛り込まれた序盤でスムーズに世界観に導いた後は、ものすごい勢いで狂気が加速。空からサメ!マンホールからサメ!プールにもサメ!と「水を見たらサメと思え」な状況に対し、撃って轢いて燃やして裂いてありとあらゆる調理法で対抗する人類たち。人間もサメもサクサク死んでいく目覚ましいテンポの速さに加え、アサイラムらしい腑抜けたギャグが満載とあっては興奮するなというのが無理と言うもの。チャイニーズシアター前に足跡ならぬサメ跡を作る場面が無謀でも何でもない、確実にパニック映画史に爪痕を刻み込んだ一本だ。


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