呪いの深海獣          「評価 C」

海底深くに設けられた生物学研究所。ここではラサティエ博士を中心として、深海の未知なる生物を探求するための調査が行われていた。ところがある時、探知機に奇妙な反応が。巨大な物体が毎日のように研究所周辺を直線的に移動していたのだ。もしや敵国の潜水艦ではないか。そこで軍からウェイン指揮官が派遣され、調査が開始された。潜水艦にしてはモーターやスクリューの音もなく、研究所に接近しては離れていく奇妙な存在。やがて潜水技師の協力もあって、彼らはその正体を突き止める。それは50フィートはある円盤状の潜水艇だった。海溝深くで動きを止めた合間に、彼らは接近して潜入を試みる。内部は巨大な空洞となっており、生物の気配はない。もしや異星人の船ではないか──と憶測を巡らせながら、一行は怪しげな卵を発見し、生物学研究所に持ち帰った。しかしこの卵、研究所内の熱を吸収してみるみるうちに巨大化。けたたましい音と共に醜悪な深海獣が誕生し、研究所の人間に襲い掛かった…。

海底の研究所を舞台とした海洋モンスターパニック。終始セットと水槽の中で進行する低予算映画ながら、円盤内部で三角形のドアからゼリー状の物質に包まれた半魚人の卵がところてんのように押し出されてくるギミックが良い味している。そして深海獣はシンプルな半魚人スタイルをベースとしつつ、精悍な顔つきといい青い体躯と真紅の背びれの色彩バランスといい丁寧な仕事が光る秀逸なデザイン。本作では水中撮影が存分に用いられており、勿論こいつが水中を動き回る場面も盛り沢山。造形の素晴らしさを思う存分堪能できるのが嬉しかった。特に水中で人間3人と格闘を繰り広げる場面はなかなかの迫力だ。
ただこの怪物、ビジュアルに反して大して強くなかった。未知のウイルスを撒き散らして研究所を恐怖に陥れるまでは良かったが、ウイルス対策をされてしまうと没落。目の前に糸が張ってある分かり易いトラップに引っかかるわ、人間が3人がかりで来られると手も足も出ないで組み伏せられるわ、水中銃で負傷するわ、本当に良い所がない。映画後半は恐怖よりも哀愁を感じてならなかった。


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