PLANET OF THE SHARKS 鮫の惑星    「評価 D」

遠い未来。地球温暖化による海面上昇に伴い、地球から陸地が失われた。人類は海上に幾つもの小さな村を築いて辛うじて生き永らえていたが、海には食物連鎖の頂点に立つサメが無数に棲息しており、防護ネットを張っているものの最早追い詰められたも同然。ベストロン海洋研究所のショー博士らはこの窮地を打開するべく、CO2洗浄装置を搭載したロケットを飛ばす計画を進めていた。遥か上空で装置を作動させれば温暖化は解消され、陸地は蘇るというのだ。しかし運命とは残酷な物。海水の温度が上がり過ぎたことで海中のプランクトンが死滅。それを食べる小魚も死滅。餌を失ったサメたちは、海の上に餌場を求め始めた!生体電気で交信し、イルカの如く軽快なジャンプを駆使することで海上の人類を容赦なく食らい尽くすサメの群れ。このままではロケットどころじゃない、とショー博士たちはサメどもを海溝の休火山に誘き寄せ、電磁ビームによって爆発を起こして一網打尽にした。おかげで多くのサメが死滅したものの、今度は電力設備がいかれてロケットが発射できなくなる事態に。彼女等は最後の手段として、生き残りのサメの生体電気を活用してロケットを点火させる大胆な作戦を打ち立てる…。

「ビーチ・シャーク」のマーク・アトキンス監督によるSFサメ映画。本作のサメはヘリをも喰らう水上ジャンプと生体電気による連携プレイがセールスポイントとなっているものの、正直言って「砂浜を泳ぐ」に比べたらインパクト不足。特に生体電気は水中放電で人間を黒焦げにでもしてくれるのかと思いきやそんなことはなく、本当に交信とロケット点火にしか使われないのが残念な限りだ。ジャンプで人間を食い攫うばかりで襲撃の絵面が単調気味なのも難。サメの電力を使って地球を救おうとする脚本はこの上なくユニークなのに、肝心のサメに魅力が無ければどうにもならない。
サメ以外にも火山噴火に津波にロケット噴射と山場となりそうな場面は多々あれど、ヘナヘナのVFXが全てを殺して満遍なく脱力させてくれる本作。中でも心に残るのが映画中盤、人口436人の都市サルベイションで女親分率いる戦士たちとサメ軍団が対決する場面だ。樽を叩き床を踏み鳴らしサメの群れを迎え撃つという何とも勇ましいシチュエーションだが、画面に映る住民の数は10人にも満たない上、一発撮りなのかリズムはズレまくりときた。これでは幾ら怪気炎を上げたところで盛り上がれというのが無理というもの。それを眺める主人公たちの寂寥感溢れる眼差しと相俟って、物凄く侘しい雰囲気を醸し出していた。


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