快楽殺人トリプル5                  「評価 C」

真夜中のビーチで発生したカップル惨殺事件。男も女も刃物で切り裂かれ、あまつさえ女の方は惨殺のち屍姦ときたから大変な凶行だ。すぐさま警察署のコナー巡査部長たちは捜査にかかるが、第一発見者のピーター・ウェインという老人がどうにも怪しい。朝鮮戦争帰りのこの男、北朝鮮軍に拷問を受けて精神を病んだらしいが、事情聴取するにしても証言が要領を得ない。おまけに目撃した犯人の姿というのが「身長6フィートぐらいのヒッピー風。長い髪の毛にひげ面で花柄のシャツにベルボトムのジーンズ」と時代錯誤も甚だしいもので、著しく信憑性に欠けていたのだ。そこで警察はウェインを第一容疑者として、彼の自宅に張り込みをつけることにした。ところがその次の日の夜もそのまた次の日の夜も、同じようにカップルが惨殺される事件が発生した。果たしてウェインは犯人でないのか。それとも自宅に秘密の抜け穴があって、そこから夜な夜な殺人に出かけているのか。謎は深まるばかりで一向に捜査は進展しない。そんな中、コナーたちのもとに驚くべき情報が入ってきた。5夜連続で5組のカップルが惨殺される類似した快楽殺人事件が、5年おきに全米各地で発生していたというのだ。更に5年前の殺人現場にウェインがいたことが判明し、ますます彼への疑いを強めるコナーたち。一方でデイリー・ニュース紙の敏腕女性記者スーザン・ラザーは、元カレの警官ケネディの協力を得て独自に事件を追っていた。そして過去の類似事件の資料を漁るうちに、真犯人に繋がる重要な事実に出くわした…。

「アタック・オブ・ビースト・クリーチャー」「シングス 悪夢のバグズベイビー」といった悪夢のような未公開作品を発掘してくれる気骨溢れるレーベル、HIGH-BURN VIDEOよりリリースされた1本。ショッキングピンクの背景に黒文字クレジットが重なる目に厳しいオープニングが終わると、いきなり夜のビーチで青姦に励むカップルが映し出される。すわサービスシーンかと身構えたら、画面がやたら暗い上にモヤがかかったようなぼんやりした映像で肝心なところが全く見えない生殺し仕様。その後も5組のカップルのベッドシーンが出てくるわけだが、珍しく明るい部屋でカップルがイチャイチャしていても体をシーツで包んでいて何も見せないとくるからたまらない。そして快楽殺人鬼がやってきてカップルが惨殺されて警官が捜査するわけだが、この捜査パートもまた異様なまでに盛り上がらない。コナーたちは自らの足で情報を集めることをろくにせず、一度ウェイン宅に聞き込みに行った後は張り込みも部下任せ。オフィスで与えられた情報を基に同僚の警官とひたすら議論ばかり展開するのだ。重要な情報は上司やラザーが持ってくるものばかりで、最前線のはずの捜査現場では連続殺人が発生しているとは到底思えない呑気な雰囲気が漂っていた。
でもこの映画、犯人周りの描写はとても良かった。寝転がりながらナイフを眺めて息を荒げる変態性もさることながら、屍姦中にパトカーのサイレン音が響いて「ノー!」と絶叫しても、腰を数回振ってから逃走する未練がましさも味わい深い。致命傷を負った後も快楽殺人の思い出に浸りながら満ち足りた笑顔で死んでいく、「相撲で負けて勝負に勝った」な末路も実にポイント高かった。真犯人の安らかな死に顔の前には「なぜ5年おきに快楽殺人に出るのか?」なんて謎さえどうでもよくなってしまう。そして何より先述の通りエロ要素は薄味でもゴア描写はサービス満点。ビデオ撮りの低予算映画でも指切断、首切断、喉にナイフを突き立てるといった特殊メイクは気合が入っていて存分に楽しむことができた。


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