野菜を食べたら吐き気を催す肉食系エイリアンが、地球人のリサーチのために菜食系レズカップルの家に転がり込んだ。そこで彼が体験するのは、女同士のベッドシーンを目撃したり、女装させられレズに迫られたり、レズの修羅場に遭遇したり、人類の多くが経験していないであろうレアイベントばかり。本当ならすぐにでも飛び掛かって食らいつきたいけれど貴重なサンプルなのでそうもいかず、周辺の動物を食いながら辛抱強く観察を続けていた。やがてレズカップルの関係に亀裂が生じ、2人は醜く罵り合った挙句にエイリアンを追放する。これによって地球人に見切りをつけたエイリアンは、本能に従い彼女たちを食い殺すことにした…。
言わずと知れたMiMiビデオの代表作の一本。エイリアンは興奮すると見境なく人間を食らうけれど、親切なレズカップルに保護されたおかげでなかなか狂暴性をむき出しにしない。映画の大半がレズカップルとの平穏な日常に割かれ、おまけに肝心の捕食シーンはクライマックス以外ろくに見せてくれないというヘナヘナ仕様だ。それでもこの映画、唾棄するには惜しい魅力もある。無垢と獣性と知性が共存するエイリアンの自由すぎる振る舞いは見ていて楽しいし、人間の醜悪さを見せつけて「人間=タンパク質の塊」と結論づける皮肉めいたオチも悪くない。これで襲撃シーンをコンスタントに挟んで緊迫感を煽ってくれたら随分見られた内容になるのではと思えてならなかった。それができないから本作は悪名を馳せているのだけれど。