ライトニング 人類滅亡のシナリオ        「評価 D」

家を買うために田舎町を訪れた夫婦、ロブとテリー。その帰り道、山道で車を走らせていたところ、急にエンジンが停止した。携帯電話や腕時計も動かなくなっており、明らかに只事でない様子。2人は車を降り、歩いて町に引き返すことにした。同じように車を乗り捨てた人々と合流し、町に向かう一行。しかしこの怪現象は、まだ始まりに過ぎなかった。突如天に黒雲が出現し、無数の雷が落ちる。雷はどういうことか人間の頭上だけに的確に降り注ぎ、物陰に隠れることができなかった人々は瞬く間に消し炭に変わり果てた。また周辺一帯では発光する浮遊体が出現し、同じく雷を放って人間たちを消滅させていた。更に災害は、雷のみに留まらなかった。ありとあらゆる食物や水が猛毒に変わり果て、口にした者は全身に黒斑ができて死に絶えていった。こんな八方塞がりの状況下で、ロブとテリーは生き残った人々と共に、安全な場所を求めて移動を続ける。だがやがて、敬虔なクリスチャンのペトラはある事に気づいた。これらの諸現象が皆、聖書に記されている終末と一致していることに。人類は今、裁きの時を迎えていた…。

怪現象による終末を描いた本作は「アポカリプス 地球最後の日」と同様の、パニック映画の体裁をとった宗教映画だ。最初の頃は聖書の模写を持っているホームレスをロブが拒絶する程度の描写だったのが、災害が一通り出てきて主人公たちの心が不安に染まってくると宗教色は本格化。ペトラが聖書を持ち出してテリーを信仰の道に誘い、ロブがそんなペトラを顔を真っ赤にして批難し、宗教論争が展開する。そんな中でペトラに感化された人々の行動目的が「どう生き延びるか」から「どう終末を受け入れるか」に変化していくのだが、本作はこの切り替えが強引すぎた。なので終末を受け入れた人々の行動が「絶望からの逃げ」にしか感じられず、尊さがまるで感じられないのは困った。
でもこの映画、特殊効果は悪くない。人々が消し炭になる様子は存分に拝めるし、光る浮遊物体たちのビジュアルも田舎の騒動に収まりそうな話にしっかり黙示録的イメージを与えている。脚本は腑に落ちないものの、パニック映画としてそれなりに見所があるのは救いになっていた。


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