CO2削減のため、グローバル・シナジー社が打ち立てた計画。それは海上基地の装置で大気中のCO2を分離し、海底に無数に存在する地下空洞に閉じ込めるというものだった。環境保護団体の反対をよそに基地は北海に完成し、作動開始の時が近づく。しかし並行して、周辺海域では魚やカモメの大量死や船舶の沈没など、異常現象が続発。実は地下空洞には膨大な量のメタンガスが溜まっており、それが海に漏れ出すことで生物の大量死を招き、また地下空洞に海水が流れ込むことで渦ができ、船舶を沈めていたのだ。そこにCO2が注入でもされたら、地下空洞は大崩壊を起こしかねない。その秘密を知った環境保護団体のサラは、グローバル・シナジー社の連中によって監禁される。彼らはリスクを承知していながら、多額の投資を無駄にできないためにプロジェクトを強行しようとしていた。一方、サラの義父で沿岸警備隊に所属するトムは、たびたび発生する怪現象に頭を悩ませていた。そんな中、彼はグローバル・シナジー社の元社員・アンと知り合う。彼女はリサから機密ファイルを記録したUSBを受け取っており、それには海上基地における社員たちの怪しげな動きが記録されていた。更にサラの携帯電話のGPSから彼女の居場所を突き止めると、無事に救出。サラの口から恐るべき計画の全容を知ると、何とか阻止するべく動き出した。だが時既に遅く、海上基地付近を航海する豪華客船では、多くの出資者たちが見守る中、装置の作動スイッチが押されてしまった。大量のCO2が地下空洞に注ぎ込まれていくが、案の定空洞は崩壊。海底は陥没し、膨大な量のメタンが大気に解き放たれた。更に巨大な渦が出現し、海上基地は崩壊。豪華客船も航行不能に陥った。トムたちは人々の命を救うため、豪華客船を救い出そうとする…。
「ハルマゲドン」のニック・ライオン監督による、地盤沈下&ガス噴出を題材にしたパニック映画。いずれの題材もコンスタントに扱われているが、本作のように海を舞台にしたのは珍しい。海底陥没による渦の発生をはじめ、メタンを吸った魚&カモメの死骸が海上を埋め尽くす、浜辺に亀裂が走って陥没する、といった視覚的インパクトに富んだ見せ場が複数盛り込まれ、なかなかのスペクタクル感を演出していた。
だが災害描写はいいのに、それ以外の部分はあまり評価できなかった。何より気になったのが、映画中盤でトム&アンによるアクションサスペンスをダラダラと続けた点。大した真相があるわけでもないのに、会社のエージェントから逃げ回って秘密を探る話が盛り上がるはずがない。またこの会社、大学教授を秘密裏に殺害して権力を見せつける一方、肝心の海上基地の警備が手薄すぎて容易にゴムボートの接近を許すのも何だかなあと思えてしまう。そして豪華客船を救うクライマックスも、災害の凄まじさに比べるとあまりにも地味だ。全編にわたる煮え切らない感じが折角の魅力を削ぎ落としている辺り、「ハルマゲドン」に通じるところがある作品だった。