レイは妻ヘレンと息子デヴィッド、そして息子のガールフレンドを連れて、真冬の湖にやってきた。凍てつく湖に穴を開けて釣りをするのが毎年恒例の行事であり、とりわけ今回はデヴィッドたちが支援活動でウガンダまで行くことが決定しているため、家族で過ごす最後のイベントでもあった。ところがそんな大切な日にもかかわらず、いくら釣り糸を垂らしても全く魚がかからない。同じく釣りをしに来たスティーヴ親子も同様であり、首を傾げていたところ、氷の下に巨大な影が動くのを見つけた。どうやら巨大な魚が棲みつき、小魚を食い尽くしてしまったようだ。そこでスティーヴ親子はこの大物を釣り上げるべく、湖面に巨大な穴を開け、エンジンの振動で誘き寄せた。たちまち標的がやってきたものの、釣り上げようとしたスティーヴの息子が逆に水中に引きずり込まれてしまった。辛うじて救出することができたが、彼の腕には切断されたような深い傷が。水中に潜んでいたモノは、単なる魚ではなかった。何処からか流れてきた半魚人が湖に棲みつき、縄張りに侵入する者を片っ端から食い殺していたのだ…。
氷の下に潜んで獲物を襲うので「アイス・トレマーズ」なんて邦題がつけられた半魚人映画。半魚人は「フロッグマン」みたいなシルエットで、大きく見開いた目がポール・ブレイズデル風。そのスーツっぽさ全開な見た目はあまり格好いいとは言えないものの、こいつの真価は水中にて発揮された。装飾の少ないデザインなものだから、水中で動くのも容易。そのため水の中を泳ぎ回って獲物に襲い掛かる様をバッチリ拝むことができるのだ。そして襲撃に際してもヒレの毒で相手の動きを鈍くしてから捕獲するなんて頭脳プレイを見せてくれ、魅力を振りまいていた。
しかしこの映画、半魚人が出てくるのが遅すぎた。半魚人が出てくるのが上映時間の半分を過ぎてからで、それまでは家族の会話と釣りの様子を延々と見せられることに。その内容が半魚人との戦いの場にカタルシスをもたらせば良いのだが、戦い自体が煮え切らない状態で終わるので如何ともしがたかった。