モンスターズ・ゾーン           「評価 D」

カンザス州の田舎道を、一台の車が走っていた。母親と三人の娘が、帰郷する父を空港まで迎えに行こうとしていたのだ。しかしその日、カンザスの空は荒れに荒れていた。雹が降り注ぎ、付近では竜巻が発生。すかさず彼女たちは車を乗り捨て、通り沿いの一軒家へ逃げ込むと、シェルターに入って竜巻をやり過ごすことにした。しばらく身を潜め、風の音が止んだ。これで一安心と思いきや、本当の恐怖はここからだった。シェルターのドアに木が倒れこんでおり、開けることができない。止むを得ず娘の一人が天井間際の小窓から出ようと身を乗り出したところ、突如何者かが現れ、鋭い牙で噛み付いてきた。慌てて小窓から離れると、窓は外から次々と塞がれていき、彼女たちは幽閉される形となってしまった。携帯電話は通じず、外部に助けを求めることもできない。止むを得ずシェルターに残された道具を掻き集め、脱出する術を探ることになった。とそんな中、この家に暮らす一族の起源について記した、一冊の書物を発見した。それによると、この家の先祖は竜巻の日に生まれ、以後も竜巻の日になると、たくさんの子どもを産み続けてきたらしい。竜巻と縁の深い一族と、窓の外で噛み付いてきた者。その関連性に興味を抱くも束の間、奴はとうとうシェルター内部にまで侵入してきた。竜巻が迫ると凶暴な怪物に姿を変える、呪われた一族の末裔が…。

「<ディザスター&モンスター>ムービー!」なんて派手な宣伝文句とは裏腹に、狭い地下室で正体不明の敵から逃れるために奮闘する、サスペンス要素の強い作品。竜巻のVFXはなかなかの迫力だが建物を薙ぎ倒すといった破壊描写は皆無な上、出番自体が物凄く少ないので、パニック映画の要素を期待していると大きく肩透かしを食らう。また怪物の方は太い釘のような歯が特徴で、その歯を剥き出しにして娘たちを威嚇する姿は結構見栄えがする。でも肝心の戦闘シーンでは攻撃手段が噛み付きオンリーな上、動きが緩慢すぎて恐怖感に乏しい。それなのに娘たちはシェルター内からネイルガンなんて持ち出して、遠距離からバシバシ釘を撃ってくるものだから、とてもじゃないが勝負にならず一方的にやられていくのが惨めでならなかった。明確な因果関係が説明されない設定回りは不気味な雰囲気があって興味を惹かれるのに、怪物の魅力が感じられないのは如何ともしがたい作品だった。


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