ピラニア リターンズ         「評価 B」

ヴィクトリア湖の惨劇から一年。古代ピラニア・パイゴセントラスはすっかり姿を消し、恐怖は去ったかに思われた。どっこい奴らは生きていた。新たな餌場を求め、地底の水脈を大移動していたのである。ところ変わってアリゾナ州の田舎町。クロス湖の近くでは、ウォーター・パーク“ザ・ビッグ・ウェット”がオープンを控えていた。お色気ムンムン美女によるセクシーサービスを目玉に据え、水中カメラで肢体を覗けるハレンチな仕掛けも搭載。オーナーであるチェットはノリノリでCM撮影などの準備に明け暮れていたが、義理の娘マディはそのあまりのお下品な光景に顔をしかめていた。一方クロス湖では失踪事件が続発。言うまでもなくピラニアどもの仕業だが、奴らは骨も残さず食い尽くすため、死体が発見されることは無かった。そしていよいよ、オープン当日。ザ・ビッグ・ウェットには周辺一帯から老若男女が押し寄せ、大盛況となっていた。ところがこのプール、水を地底湖から汲み上げていたから大変だ。たちまち大量のピラニアが流れ込み、桃色の楽園は血に染まった。マディは人々の救出をしようとプールに入ったが、その矢先に作業員がプールの水を抜き始めた。彼女はピラニアと共に、排水溝に吸い込まれていく。それを見ていた友人ジョシュは、彼女を救出しようと水の中に突入した…。

「ザ・フィースト」のジョン・ギャラガー監督による、「ピラニア3D」の続編。「殺人魚フライングキラー」のオマージュか、ピラニアが勢いよくジャンプして獲物を食らう場面が多数盛り込まれたのを始め、残虐&お下劣な要素は前作よりも格段にパワーアップ。ペニス食いちぎり、肛門潜りといった芸当披露のほか、女性の嘔吐を何の必然性もなく大写しにするような要らないサービス精神も旺盛。中でもチェットの悲惨かつ幸せな末路は、本作の真骨頂と言っても過言ではないだろう。また今回は「ベイ・ウォッチ」のデヴィッド・ハッセルホフが本人役で出演。キザなサングラス外しを披露しつつ、年には勝てぬ情けない姿が哀愁を漂わせ、お馬鹿なノリに華を添えていた。
けれど本作、退治シーンにおけるカタルシスの無さが前作にも増して酷くなっていた。ピラニアを処理する方法がその場しのぎにすらなっていないのは前作同様で、その上処理するのが主人公ですらなく、脇役もいいところな作業員とあっては、盛り上がるのが難しいというもの。前作で大活躍していたヴィング・レイムスも、今回は義足に銃を仕込んでピラニア退治にあたるが、基本的に一匹ずつしか退治できないので爽快感に欠けた。前回といい今回といい、ピラニアが暴れるシーンは申し分ないのに、どうして退治方法には拘らないのだろうか。どうも片手落ちの印象が拭えない作品だ。


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