グランド・クロス シード・オブ・ディストラクション          「評価 C」

ネバダ州の森の中に存在する研究施設。そこではジェレミー・フレーム博士が、“エデンの種子”なる恐るべき植物の研究を行っていた。かつて楽園を追われたアダムが密かに壷に入れて持ち出したというこの植物は、一酸化炭素やアンモニアなどあらゆる不純物を取り込んで成長する性質をもっており、うまく活用すれば地球の様々な環境問題を解決できる可能性を秘めていた。その情報を聞きつけた政府の秘密機関スコープは、助手カイルを買収してエデンの種子のサンプルを入手しようと目論んだ。人里離れたケンブル鉱山に彼を呼び出し、大金と引き換えに種子を受け取ろうとする。だがその現場が、環境保護活動家の青年ケイトとジョーに撮影されていた。彼らの存在に気づいたスコープの面々は、カイルが裏切ったと判断し、彼を射殺。エデンの種子はカイルの手元からこぼれ、地面に落下した。すると、どうしたことか。エデンの種子は根を張って大樹となり、無数の巨大な幹が地上を押し潰していった。ただちに軍が出動しミサイルを撃ち込んだが、有害物質を吸収するエデンの種子にとっては餌を与えたも同然で事態は悪化するだけだった。このまま成長が続けば、一週間もすればアメリカ全土がエデンの種子に覆い尽くされてしまう。事態の収拾を依頼されたスタイン博士は、フレームの研究施設だけが植物の進出を免れていることに気づく。もしこの地の土に抗体が混ぜられているとしたら、それを抽出して主根に投与することで成長を抑制できるかもしれない。フレームの協力を得て抗体を作り出し、運良く逃げ延びていたケイトとジョーから主根がケンブル鉱山にあることを聞いたスタインは、抗体を手に主根へと向かった…。

「アルマゲドン2012 マーキュリー・クライシス」のポール・ジラー監督による、異常成長する植物による災害パニック映画。よく似たコンセプトの作品にリチャード・ジェフリーズ監督の「ディストラクション 合衆国滅亡」があるが、残念ながら本作は「ディストラクション」に比べると大きく見劣りした。都市破壊などの大規模災害は遠くから映すばかりで臨場感に乏しいし、「ディストラクション」で大きな見せ場となっていた人体に種子が寄生して植物が生えるといったマイクロスケールの恐怖描写も皆無。その代わりに、研究施設の警備員たちとの銃撃戦やら、科学者が植物の価値を優先して暴走するというお決まりのパターンやら、人間同士のいざこざで時間を稼いでいる始末だった。巨大な幹や地割れによる災害シーンは豊富で、映画の出来自体はそれほど悪くないのだが、「ディストラクション」より後に作られたことが本作にとって何よりもの不運だったと言えるだろう。


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