田舎町トムズタウン。ここの大地主であるトムは、若くてピチピチの女性メーガンを妻に迎え、順風満帆な日々を過ごしていた。ところがある晩、彼が経営する廃車処理場にて、メーガンが幼馴染ブレイダンと不倫している現場に遭遇。トムは怒り狂い、2人に銃口を向ける。だが駆けつけたメーガンの母親によってハンマーで殴られ、哀れ命を落としてしまった。メーガンは元々遺産が目当てで結婚したので、トムが死んだことで大喜び。そして死体の処理をどうするか考えていた時、事件は起こった。廃車処理場に小さな宇宙船が墜落し、中からエイリアンが出現。宇宙船に近づく人間を「修理を邪魔する者」と見なし、片っ端から殺害していった。これではトムの遺体を回収することができず、遺産を貰うこともできない。そこでメーガンと母親は、とんでもない奇策に出た。TVで「遺体を回収した者に10万ドルあげます!」とCMを流し、腕利きの者たちにエイリアンの相手をさせることにしたのだ。たちまち集結する、武装した男女たち。彼らは勇んで廃車処理場に足を踏み入れるが、場内には無数の殺人トラップが仕掛けられていた…。
「バンシー」のコリン・ゼイズ監督によるSFアクション映画。田舎町にエイリアンが出現するというコンセプトは凡庸ながら、モンスターの魅力と凄惨なスプラッター描写、そしてTVCMに象徴されるような妙に気の抜けたノリによって存外に楽しめる内容となっていた。
本作のエイリアンは殆ど人間側と意思疎通をせず、冷徹に抹殺していくだけなのでキャラクター性は薄いものの、凄まじい多才多芸で人間たちを翻弄していく。バリアを張ったり、人喰い芋虫をばらまいたり、死体を操ったり、廃車のパーツから複数の殺人マシーンを自作したりなど、その万能さは観ていて清々しい限りだった。そんなエイリアンによる焼死に爆死に凍死に斬死といったバリエーションに富んだ殺戮シーンもまた、容赦ない残酷さに溢れている。中でも人喰い芋虫の大群に襲われる場面では、芋虫が鼻の穴に入り、皮膚の下を這い回り、眼球を突き破って這い出てくる…という光景が稚拙なCGで表現され、その醜悪さは何とも素晴らしかった。