11月28日、そいつは突如やってきた。アメリカ本土に無数の三脚ロボットとUFOが襲来。軍と政府の主要施設を重点的に破壊し、たちまちアメリカは無政府状態の地獄絵図と化した。生き残った軍人たちは市民に武器を渡し、国民一丸となって抵抗に臨むものの、奴らの凄まじい火力を前にしては為すところもなく、次々と殺害および拉致されていった。そんな中、マリッサは倉庫に身を潜め、瀕死の女性ジョニーを介抱していた。やがて2人の男、ロジャーとアンダースも合流し、3人でジョニーの面倒を見ることに。だが夜になり、マリッサとアンダースが薬を探しに出かけている間に事件は起こった。ロジャーが水と間違えて漂白剤をジョニーに飲ませてしまい、彼女はもがき苦しみ出した。帰ってきた2人は慌てて駆け寄り、牛乳を飲ませたり吐血を拭いたりできる限りの処置を施すが、一向に回復する気配がない。そこで仕方なく、アンダースは彼女の首の骨を追って安楽死させた。
翌日になっても、周囲には三脚ロボットの群れが徘徊している。このままでは倉庫も危ないだろう。アンダースは爆弾でロボットを攻撃し、相手が怯んでいる隙に近くの車に乗って逃げようとした。ちゃんと作動する爆弾を作れず苦闘するが、幾度目かにしていよいよ成功。三脚ロボットは足を破壊されて撤退し、その間に3人は車に乗り込んだ。しかし発進する直前、空から1つの爆弾が投下された。爆発後、黒いガスのようなものが辺りに立ち込める。するとどうしたことか。ガスを吸った人間は昏倒していっているではないか。奴らは毒ガス爆弾を落としてきた。3人は一目散に倉庫に逃げ込み、トイレのドアを固く塞いで立て篭もった。
やがてガスが無くなったのを確認し、3人は改めて車に乗り込んで町を離れた。砂漠地帯に出た矢先、町に原爆が投下された。脱出はギリギリのタイミングだった。途中で車が故障するトラブルがあったものの、マリッサが逃げる時に出会った一団と再会し、彼らの車に同乗することができた。向かう先は、パラダイス・シティ。軍の基地があるこの町には、多くの人々が集まって最後の砦を築いているらしい。
そして一行は、パラダイス・シティに辿り着く。しかし夜になっても町は闇に包まれており、どうも様子がおかしい。気になって中の様子を窺ってみると、そこにはあまりにも凄惨な光景が広がっていた。宇宙人たちが人間たちを檻に閉じ込め、生き血を啜っていたのだ。奴ら火星人は、食料調達のために地球を襲っていた。マリッサたちは既に軍が全滅していたことに絶望しながらも、幽閉されている人々を救うため、爆弾片手に立ち上がった…。
「トランスフォーサー」「エイリアン・アルマゲドン」のニール・ジョンソン監督による「宇宙戦争」翻案映画。ベースとなる作品があるせいか、今回はニール・ジョンソンらしい奇を衒った設定や思わせぶりな台詞も控え目。一方で割と出来のいいVFXを活かして三脚ロボットたちが市民を爆殺していく光景をふんだんに盛り込んでおり、実に真っ当な侵略SFとなっていた。オリジナルの出来は散々なのに、原作つきだとここまで観れる作品になるのか。ニール・ジョンソンの作風が苦手だった私にとって、これは大きな収穫だった。
勿論、本作にも欠点は少なからずある。倉庫の中にいる時は2人の男のいがみ合いをメインに進行していたのに、パラダイス・シティに突いた途端に2人の関係性についての描写が希薄になり、軸がぶれているように感じられる。同じ爆撃映像を何度も使い回し、折角の破壊シーンの衝撃を減衰させているのもアレだ。十分に楽しめる出来ではあるが、良作と呼ぶには遠い感じがする作品だ。