ビッグフット 猿人           「評価 C」

職業軍人のジャックは、上官を殴ったせいで職を失った。仕方ないので娘チャーリーと共にオハイオ州の故郷へと帰り、人生を再出発することに。ところがその頃、町に面する湿地帯では奇妙な事件が相次いでいた。動物や人間が惨殺体となって発見され、皆が一様に肝臓を抜き取られていたのだ。旧友の保安官ボブと共に事件現場を見ていたジャックは、これらの事件が未確認生物ビッグフットによるものではないかと推測する。ビッグフットは冬眠する直前、動物の肝臓を食べることで栄養を蓄えるという言い伝えがあったからだ。当然ボブたちは聞く耳を持たないが、その後も同様の事件が続発。そしてある晩、とうとうボブまでもが、謎の生物に肝臓を抜き取られて殺害されてしまった。ジャックは親友の仇を討つべく、夜中の採石場で発炎筒を焚き、奴を誘き寄せた。やがて暗闇の奥から、獰猛なる猿人ビッグフットが姿を現す。ジャックは採石場を逃げ回りながら、奴を爆殺しようとするが…。

トロマ配給による、脱力感満点なビッグフット映画。作品冒頭、野生動物たちの長閑な暮らしがビッグフットに破壊される光景は、トロマらしい悪趣味さが全開で楽しかった。しかしその後は、チープな特殊メイク、フニャフニャな音楽、間延びした演出、物陰から引きずり込まれてばかりの単調なシチュエーション、などの要素が折り重なり、どうにも刺激が乏しい映像が続く。クライマックスの対決において職業軍人というジャックの設定が全く活かされず、計画性の無さから物凄くグダグダな展開に陥るのも頭を抱えてしまうところだ。
一方でこの映画、登場人物たちの掛け合いには光るものがあった。日常会話の端々から小気味良いユーモアが窺え、戦闘シーンが凡庸な本作において大きな求心力を呼び起こしていた。また会話で登場人物の関係性をしっかり掘り下げているからこそ、ジャックがボブの仇討ちに向かうシーンは、たとえ回想を織り込む演出がベタでも熱いモノを感じる。モンスター映画としてはヘナチョコもいいところだが、なんだかんだで楽しめてしまう作品だった。


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