ハリウッドで夢破れたジンジャーデッドマン。それから色々あったのか、今では殺人クッキー科学研究所の一室に収監されていた。そんなある日、クラリッサという女性が面会に訪れた。しかし彼女、兄の復讐が目的で、ジンジャーデッドマンに銃口を向けてきた。両手両足を固定されて身動きがとれないジンジャーデッドマンは大ピンチ。とその時、研究所に動物愛護団体が乱入。収監されている殺人お菓子たちを「虐待を受けて変わり果てた動物たち」と勘違いし、職員を殴り倒しては次々とお菓子たちを解放していった。ジンジャーデッドマンはこのドサクサに紛れてクラリッサの目を逃れ、まんまと脱走に成功。近所のタイムトラベル研究所に逃げ込むと、食物タイムマシンに乗って1976年へとワープした。
そして1976年。ジンジャーデッドマンはローラースケート場“トリクシー・レーン”に辿りついた。ナウなディスコサウンドに乗ってルンルン気分でスケートをエンジョイするヤングのフィーバーに負けまいと、人知れず血みどろショーを繰り広げて大ハッスル。一方、スケート場では女王コンテストが開催され、何人ものカワイコちゃんが名乗りを上げていた。そんな中、オーナーの姪チェリーは従業員ランディに誘われ、オーナーの反対を押し切ってスケートに挑戦。そのハクい容姿で男子諸君を生唾ゴックンさせ、女王の座は確実視された。だが結果発表の瞬間、会場にジンジャーデッドマンが乱入。たちまちスケート場は死体が積み重なる地獄絵図と化し、最早女王どころではなくなってしまった。しかしその時、チェリーは自らの秘めた力を解放。超能力を使ってジンジャーデッドマンに立ち向かった。さらに物凄い応援団が駆けつけ、彼女に加勢。あまりもの巨大な敵を前に、いよいよジンジャーデッドマンにも年貢の納め時が来ようとしていた…。
ジンジャーデッドマンが時をかける、シリーズ第三弾。邦題が示すとおり「羊たちの沈黙」「キャリー」などのパロディを散りばめた内容となっているが、ネタの出し方がベタすぎて笑いに結びついておらず、むしろジンジャーデッドマン自身の個性を塗りつぶすという弊害の方が大きく感じられた。それまでパロディなんかとは無縁のシリーズだったのに、どうしてこんな方向転換を図ったのか。つくづく残念に思えてならない。
しかし本作、パロディネタ以外に関しては、これまでのシリーズと見比べても確実な進化が窺える出来だった。特に殺害シーンのグレードアップは目覚しいものがあった。塩酸シャワーや釘マシンガン、足首カットに頭部縦裂きといった豊富な手口のみならず、ある程度の特殊効果が加えられたことで爽快感が段違いに。さらにクライマックスではシリーズ初の大量殺人まで披露し、そのサービス精神の旺盛さに高い満足感を得られた。
ラストも強引ながらきっちり伏線回収して後味良く終わるし、なかなかの快作だった。