殺人鬼ミラードの魂がジンジャーブレッドに宿ることで誕生した脅威のミニサイズモンスター、ジンジャーデッドマン。かつてサラやアモスの活躍によって討滅されたものの、その魂は続編が出る限り尽きることはない。実はジンジャーデッドマンには、オーブンがあれば何処からでも蘇生するという脅威の後付け設定があったのだ! ところ変わってハリウッド。チートム・スタジオでは、B級映画の帝王を父に持つ新米プロデューサーのケルヴィンが、スタジオの再起をかけてオカルト映画「タイニー・テラーズ」を撮影していた。美女の心臓を生贄に捧げてミニサイズの悪魔たちを召喚するという筋書きだが、そのあまりにもチープな内容に出演陣もスタッフもやる気0。さらにギャラの支払いが滞っており、撮影は難航を極めていた。そんな中、スタジオに居座るグラマー女優のポリーが、テキサスに住む妹から送られてきたクッキーを開封した。ところが大小様々なクッキーに紛れて、ジンジャーデッドマンの姿が! 奴は箱から抜け出すと、魂を人間に乗り移らせるための生贄として、スタジオのスタッフや俳優たちと次々と惨殺していった。そのころケルヴィンは、熱烈なB級映画マニアの車椅子青年トミーと、付き添いの慈善団体に所属する美女ヘザーに、スタジオ内を紹介して回っていた。しかしそこへ、撮影用の人型ロボットに乗り込んだジンジャーデッドマンが襲い掛かる。ロボットは改造されて殺人光線を撃てるようになっており、まさに絶体絶命。そんな危機を救ったのは、意外にもトミーだった。彼は車椅子から立ち上がると、ロボットの電源コードを切断してジンジャーデッドマンの動きを封じた。彼の正体はホラー映画批評サイトの管理人。クソ映画ばかり作り続けるケルヴィンに天誅を下すべく、障害者のフリをしてスタジオにやってきたのだ。だが正体を明かしたことで、トミーはさっそく本来の目的のために動き出した。ケルヴィンとヘザーを鎖で縛ると、カメラの前で処刑しようとしたのである。処刑間際、息を吹き返したジンジャーデッドマンがトミーを殺害したものの、まだ2人の危険は去ったわけではない。むしろ鎖で縛られているから最悪の事態と言っていい。ところがそんな時、奇跡が起こった。「タイニー・テラーズ」に登場する6体のパペットが、トミーの心臓を生贄として生命を獲得。新たなクリーチャー“パペット・モンスター”となり、ジンジャーデッドマンに立ち向かった…。
チャールズ・バンド製作のニューフェイス“ジンジャーデッドマン”がハリウッドのスタジオで大暴れするシリーズ第二弾。前作は誕生篇ということもあってかジンジャーデッドマンのキャラクター以外に見る所のない出来だったが、今回は既に個性が確立した上で話が動くので、色んな方面にはっちゃけた楽しい内容となっていた。何より殺人の手口が凝っているのが嬉しいところ。最初の殺人はカットされて拍子抜けするけれど、その後はヘアーアイロンを肛門にぶっ挿したり、若い俳優とセックス中のポリーを背後からナイフで突きまくって血みどろ3Pを繰り広げたり、操演者の手が入ったパペットをチェーンソーで切断したりと、多種多様な小道具を駆使してバリエーションに富んだ殺しを見せてくれるのだ。ろくに動けないロボットを改造して操縦席と殺人光線を備えるなんてハチャメチャをやってくれるのも、ジンジャーデッドマンに新たな魅力を加味したという点で大いにアリだ。
また本作、ハリウッドのスタジオという舞台設定もあってか、チャールズ・バンドと親交があると思しき面々のカメオ出演も見所の1つ。中でも「核変異体クリーポゾイド」のデヴィッド・デコトー監督が本人役で出演したのは感動を禁じえなかった。
ただこの映画、新顔のパペット・モンスターの出番が極端に少ないのが残念。あくまで主役はジンジャーデッドマンだからと言えばそれまでだが、パペット・モンスターたちはどいつもこいつも素敵にゲロゲロなデザインをしていたので、クライマックスに少し活躍して終わりでは、あまりに勿体無いように感じられた。