スネークアタック              「評価 D」

ヘレンは売れっ子歌手。昼はコンサートに夜はパーティーと多忙な日々を送ることに空しさを感じた彼女は、あらゆるスケジュールを放り投げ、娘リリーを連れて砂漠地帯へとドライブに出かけることにした。しかし砂漠の真ん中で一匹の毒蛇を轢き殺したことから、彼女たち母娘の災難は始まった。車を停めてタイヤに張り付いた蛇の死骸を剥がしていると、夫からの電話がかかってくる。何も告げずに出かけたことから口論となり、激高したヘレンは携帯電話を投げ捨て、車に乗り込んで運転を再開した。だがその僅かな間に、車内に一匹の毒蛇が忍び込んでいた。蛇はヘレンに襲い掛かり、たちまち車内は大混乱。車は故障し、ヘレンは噛まれるという、最悪の事態に陥った。携帯電話を捨てたせいで助けも呼べず、ヘレンは徐々に肉体を蝕む毒に抗いながら、リリーと一緒に人里を目指して歩き出すことにした。ところが泣きっ面に蜂とはよく言ったもの。彼女らの身に降りかかる災難は、これだけでは留まらなかった。先ほど轢き殺した蛇の匂いがヘレンの体に移っており、その匂いに惹きつけられた毒蛇たちが彼女のことを幾重にもわたり追い回す。更に砂漠には、麻薬の売上金を横取りしたギャングと、それを追う密売人ヴィゴがいた。無論ヘレンたちは、彼らの抗争にも巻き込まれる運命にあった…。

広大な砂漠で遭難した母娘がヘビやギャングと死闘を繰り広げる、サバイバル蛇映画。ヘレンたちは作中幾度もヘビの襲撃を受けるのだが、ろくな障害物のない砂漠を舞台にしているせいで、ヘビ関連の危機的状況の描き方が物凄く単調に感じられた。冒頭の車内に入り込んだヘビを除けば、基本的に「砂漠でヘビに遭遇→接近してくる→走って逃げて危機を回避」の繰り返し。ヘビと戦う様子はマトモに描写されないし、ヘビは死体にしか絡んでこないし、観ていて欲求不満が溜まる一方だ。
中でも噴飯モノだったのが、ヘビに噛まれたヘレンの病状だ。時間の経過と共に体内に毒が回り、娘に肩を借りてやっと歩ける状態なヘレン。ところがギャングに遭遇した途端、急に俊敏な動きで格闘戦を繰り広げる。きっと娘を守るために最後の気力を振り絞っているんだろう──と思いきや、ギャングとの戦いが終わったら明らかに以前よりも元気になっていて、娘の助けを借りずにスタスタ歩行するのだから吃驚仰天。こんなテキトーな様子では、毒に対する緊迫感なんか瞬く間に吹っ飛んでしまう。とことんヘビについての粗さが目立つ、非常に落胆させられる作品だった。


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