ワイオミング州のバランスロック国立公園にて、パークレンジャー隊員の変死体が発見された。トイレの便器に全身を沈めて死亡しており、扉には鋭い爪あとが。同僚のキャルはこれをクマから逃げた果ての溺死と判断し、見習いのホビーと共に公園内にクマの警戒標識を立てることにした。だが公園内を回っていたところ、2人は槍に突き立てられた女性の生首を発見する。この公園に、クマよりも恐ろしい何かが存在する。彼らはすぐさま公園の来場客たちを避難させ、近隣住民にも声をかけようとした。しかしそんな時、奴らと遭遇した。鎧兜を身に纏い、剣や槍を携えた、武装魔獣軍団オークス。遥か昔、当時の原住民たちによって退治されたはずの魔の群れが、現代になって突如として復活。強い闘争本能に従い、目に付いた人間を片っ端から惨殺していたのだ。オークスはキャルたちを発見するなり、手に手に武器を構えて追い回してくる。2人は懸命に逃げ回り、やがて知人の女性ケイティと合流すると、公園の管理棟に飛び込んだ。無線で外部に救援を求めようとしたが、テレビ放送からすでにオークスの脅威は周辺地域にまで及んでいることが明らかになり、とても助けは望めそうにない。生き残るためには、オークスと戦うしかなかった。そこでホビーが記録していたノートから、奴らが光に弱いことを突き止めると、決死の反撃に出ることにした…。
甲冑の魔物たちとの戦いを描いたサバイバル・ホラーだが、はっきり言って脚本はかなりテキトー感が漂う。オークスが現代になって活動を再開した理由は謎のままだし、冒頭に出てくる初代レンジャー隊員の謎の死も特に重大な意味をもっているわけではない。そしてテレビで州兵が苦戦していることが報じられ「オークスはどれほどの大軍勢なんだ」と期待を煽っておきながら、終盤になると管理棟周辺に集結したのが全ての軍勢ということになり、見事に腰を砕いてくれる。
でもこの映画、作中に織り込まれるユーモアがなかなかの味わいを出しており、どうも嫌いになれなかった。テキトーに生きているキャルと生真面目なホビーとの掛け合いは楽しいし、管理棟を取り囲むオークスとの睨み合いが展開する中で、不意に大音響で園内放送のカントリーが流れる──なんて調子を外したネタも良い按配だ。腑に落ちない点が多々あるものの、小気味良い笑いのおかげで観ている間は退屈しない作品だった。