タイム・パニック               「評価 C」

田舎町ミルは、大きな変革を迎えようとしていた。町のメイン施設であるステイトン大学が拡張工事をすることになったので、土地が次々に買占められ、住民たちは立ち退きを余儀なくされていたのである。しかし先祖代々この土地を守り続けてきたダコタは、それが気に入らない。頭に来た彼は大学の先住民博物館に侵入すると、手当たり次第に展示物を破壊していった。だが一枚の石板を手に取ったとき、ダコタの表情は変わった。彼は何かに取り付かれたように降霊術の儀式をやり出し、展示してあった3体の恐竜の化石──ティラノサウルスとプテラノドンとディフォロサウルスに、太古の恐竜の魂を宿らせてしまったのだ。たちまち化石の恐竜たちは博物館を抜け出して住民や学生たちに襲い掛かり、町を恐怖に染め上げる。保安官ジェイクや軍隊の面々は銃やバズーカで対抗するが、奴らは死霊なので、いくら全身をバラバラにしてもすぐに蘇生してしまう。そんな中で正気を取り戻したダコタは、自らの過ちを悔い、この事態に自身の手で収拾をつけることを決意。石板の記述から、雷を浴びせれば魂が消滅することを探り当てると、先祖代々伝わる儀式で雨雲を呼び寄せ、恐竜たちに雷を落とそうとした。しかし儀式半ばでダコタは恐竜たちの攻撃を受けて瀕死の重傷を負い、敢え無く失敗。すると保安官ジェイクは「雷が効くなら高圧電気でもいいんじゃないか」と考え、変電所に電線を敷き詰め、恐竜たちを誘き寄せる作戦に出た…。

化石の恐竜たちが命を得て暴れ回るSFパニック映画。3体の化石恐竜が出てくるわけだが、TVムービーであるが故に残虐描写は薄め。化石恐竜が人間を殺害する光景がハッキリ画面に収まる箇所は殆どなく、喰べる瞬間になるとカメラが他の場面に移行したり、プテラノドンが人間を捕まえて遠くに去って行ったりと、何かにつけて画面の外で殺害が行われるのは大きな不満要素だった。
しかしこの描写不足を補うためか、本作は数多くのユーモラスな表現が盛り込まれていた。ティラノサウルスに飲み込まれた人間が、頭蓋骨を滑り抜けて地面に落下する。逃げる男が転倒して牛のウンコに顔面ダイブする。その直後に化石恐竜がそっぽを向いたことから「奴らはウンコの匂いが苦手」という弱点が判明すると、男は常にウンコを塗りたくって行動する。軍隊が出動する場面では、施設に予備兵しかいなかったものだから「それじゃあ、バズーカ持ちたい人」と物凄く軽いノリで進行する──などなど。大爆笑とはいかず、あくまでクスリとくる程度のユーモアばかりだ。しかしほぼ全編がこんなノリだから、唐突に色んなことが解決しているラストも一種のギャグに思え、自然に受け容れられてしまうのも事実だ。モンスター映画としては凡作もいいところだが、まずまず楽しめる作品である。


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