スノウマゲドン         「評価 C」

アラスカ州サルバーグ火山の麓にある小さな町、ノーマル。クリスマスを数日後に控えて人々が慌しくなる中、ジョンの家に差出人不明のラッピングされた箱が届けられた。不審に思いながら荷解きしてみると、中からは綺麗なスノードームが。ドームには火山とノーマルの風景を細部まで再現した模型が入っており、息子ルディは大喜び。ドームに広がるミニチュアの町を、いつまでも眺め続けていた。しかしルディがスノードームのスイッチを入れたことで、とんでもないことが起こってしまう。スイッチに反応して、ドームの町に地割れが発生する。すると実際のノーマルの町でも地割れが発生し、死者が出る騒ぎになったのだ。その後も一定の時間ごとに、ヒョウ、雪崩、岩の隆起、火山活動といった災害がドーム内で巻き起こり、それに呼応するかのようにノーマルの町にも全く同じ災厄が襲い掛かる。ノーマルの住民たちは外部に救援を求めるが、どういうわけか町の外とは一切の接触ができなくなっていた。実はこのスノードーム、町全体に呪いをかける恐ろしいアイテムだったのだ。そうと知ったジョンは、ギリシャ神話に倣い、火山の溶岩にスノードームを捨てれば呪いが解けるのではと考えた。そこで決死の思いで、スノードームを抱え、サルバーグ火山に足を踏み入れた…。

「蛾人間モスマン」のシェルドン・ウィルソン監督による、「ジュマンジ」シリーズに出てくるような呪いのアイテムが田舎町を恐怖に陥れるパニック映画。冬の火山で想定されるあらゆる災害が幕の内弁当がごとく色とりどりに盛り込まれており、なかなかに楽しかった。特にヒョウは巨大な氷塊が空中で分解し、散弾銃のごとく空襲してくる光景が、まるで天体パニック映画のごとく迫力満点に描かれていて見応え抜群だ。けれども序盤で一番見栄えのするヒョウを出してしまったせいで、後半で発生する災害のインパクトが弱く感じられたのは厳しいところだ。
脚本はファミリー向けを意識しており、罪の意識に悩む息子を父親が優しく諭して解決するメインプロットは悪くない。しかし本作はパニック映画の要素と両立させた結果、あまりにも多くの犠牲者を出しすぎた。「ジュマンジ」シリーズみたいに事態が解決したら何もかも元通り──とはいかないものだから、どれだけ家族団欒でハッピーな結末を迎えても猛烈な後味の悪さが付きまとう。解決方法を導き出すプロセスの強引さなんかは子ども向けっぽいのに、肝心なところをおざなりにしているせいで、安心して楽しむことができなくなっている作品だった。


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