フローズン           「評価 C」

休日を利用してホリストン山のスキー場にやってきた、ダンとジョーとパーカーの三人組。まんまとリフト代をちょろまかすと、日が暮れるまで滑り続け、楽しいひと時を過ごした。そして夜も更け、スキー場の営業時間が終わろうとした時のことだった。三人はギリギリまで滑ろうと、リフト係に頼み込んで、その日最後のリフトに乗せてもらった。しかしリフト係の男は、上司との仕事の相談のために持ち場を離れてしまう。彼は他の従業員にリフトを停めるよう頼み込んだが、連絡に行き違いがあったせいで、リフトは三人を乗せたまま停止した。初めは一時的なトラブルかと思った三人も、時が経ち、電気が消えると、自らが置かれた状況を悟る。自分たちが、従業員から忘れ去られてしまったことを。ここのスキー場は平日休業であり、週末にならないと従業員はやってこない。気温は下がり、天気は荒れ、徐々に消耗していく三人。更に追い討ちをかけるように、脱出を試みる彼らの周りに狼が集まってきた…。

リゾートを満喫していた人々が思わぬ落とし穴から地獄に叩きつけられる、「オープン・ウォーター」「ブラック・ウォーター」の冬版といった趣のシチュエーション・スリラー。しかしこの二作に比べると、いまいち心理的な盛り上がりに欠ける印象だった。
本作はスキー場という人工施設を舞台にしていることからも明らかなように、「ブラック・ウォーター」のように「生還するための行程は見えているけれど、それを辿るのが大変」というシチュエーションを軸に展開する。けれど三人ともリフト停止から一日も経っていない内に行動を起こしており、「このままだと凍死する」といった極限領域まで追い詰められていない。そのため命の危険を冒して狼の群れに突っ込んでいく動機付けが弱く感じられ、シチュエーションの大前提である「この行程を辿らないと生還できない」という点が大きく揺らいでいたのだ。
高所からの転落による解放骨折や、低温で手すりと掌が癒着し、無理に取ろうとして皮が剥がれてしまうといった、状況を利用した痛々しい表現は結構楽しめる。それだけに、もっと三人を追い詰めるような要素が欲しかったところだ。


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