ダブルヘッド・ジョーズ          「評価 C」

美しき南太平洋で、2人の女性が横に並んで水上スキーを楽しんでいた。だが突如、双頭のサメが出現。2人を同時に食い殺してしまった。ヤツこそはダブルヘッド・ジョーズ。2つの頭で恐怖も2倍の、脅威の殺戮モンスターだ! さて、そんな危険なヤツが棲息しているとはいざ知らず、南太平洋を航海する一隻のボートがあった。バビッシュ教授率いる大学生のグループが、授業の一環としてソロモン諸島を目指していたのだ。しかしその途中、船首に一匹のサメが激突。バビッシュが棒でつついてサメの死骸をどけようとしたら、あろうことか船尾に流れたサメがスクリューに巻き込まれる。船体は損傷し、航行不能に陥った。更に無線も使えず、助けを呼ぶこともできない。そこでバビッシュたちは、その場に錨を下ろすと、すぐ近くのサンゴ島に上陸して船体を修理するための鉄くずを探すことにした。だがサンゴ島には修理に使えそうな物品がまるで見当たらない上、この周辺はダブルヘッド・ジョーズのテリトリーだった。学生たちは次々と食い殺されていき、このままでは全員の命が危ない。仕方ないのでバビッシュは、最後の手段に出ることにした。ボートをわざと沈没させることで、搭載されている装置から救援信号を送ろうとしたのである。ところが折りしもサンゴ島は、地殻変動の真っ最中。時間の経過と共に島は沈んでいき、陸地が無くなっていく。救援がくるのが先か、はたまた島が消失してダブルヘッド・ジョーズに食い殺されるのが先か。今ここに、命がけのレースが幕を開けた…。

「メガ・シャークvsクロコザウルス」のクリストファー・レイ監督による突然変異サメ映画。ダブルヘッド・ジョーズは模型とCGの2種類を使い分けて表現されており、CGの方は拙いながらも躍動感に溢れた動きで楽しめた。特に映画中盤、尻尾で獲物を上空に叩き上げてからジャンプ喰いするカットは、流れるような動きが素晴らしく白眉の出来。しかし模型が使われるカットの方は、まるで動く気配のないサメの前で人間が騒いでいる様子を血糊と共に写すという、非常に古臭い演出を何の工夫もなく使用しており、あまり褒められたものではなかった。ヒロインが2つの頭の間の安全地帯に嵌まったおかげで無傷でやり過ごす、なんて意図的にマヌケさを演出する場面で模型が使われるならまだしも、後半の水上戦ではこの躍動感皆無の模型が出ずっぱりときては、盛り上がるのが難しいというもの。予算の都合で仕方ないとは言え、模型のせいで大きく質を落としているのに、遣り切れない思いを味わわされる作品だった。


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