ダニエルと婚約者のベスは、2ヶ月前に郊外の空き家を買って引っ越してきたばかり。この日は友人たちを集めてパーティーを開いていた。ところがニュースで竜巻警報が発令されたのを知り、みんなで地下室のシェルターへ。地下でもパーティーは続けられるし、シェルターは丈夫なので、何の心配もないはずだった。しかしこの家には、重大な秘密があった。全米各地で強盗殺人を繰り返している極悪非道のコフィン・ファミリー。つい2ヶ月前まで、この家は奴らの本拠地だったのだ。その日もアイク、アドリー、ジョニーの3兄弟は銀行強盗をしたのだが、仲間割れが発生して余所者に金を持ち逃げされた上、ジョニーが撃たれてしまう。するとアイクたちは家が売り渡されていたことを知らなかったので、今にも死にそうな弟を連れて家に上がりこんできた。何事かとダニエルたちが出てくると、兄弟たちは知らない人間の出現に混乱しながらも、彼らを銃で脅して監禁。やがて別行動を取っていたママと妹リディアが家に合流し、犯罪一家が全員集合となった。ママは淑女然とした態度で、息子たちに家を売ったことを説明し、ダニエルたちに丁重に謝罪する。だがアイクたちが毎月ママへのプレゼントとして、この家に現金を送っていたことが判明すると、態度が豹変。ダニエルとベスに問いただしても明確な返答が得られないと、現金をネコババしたと激昂し、執拗な拷問を開始した…。
チャールズ・カウフマンの佳作トロマホラー「マザーズデー」を、「SAW」2〜4のダーレン・リン・バウズマン監督がリメイクした作品。とは言え舞台設定や登場人物など殆どの要素について大幅な脚色が施されており、レイプする女を選ぶシチュエーションや、一部の殺害シーンを除けば、「殺人鬼ファミリーが人々を監禁拷問し、逆襲に遭う」という筋書きぐらいしか原型を留めていなかった。「SAW」シリーズを悪趣味スプラッター路線で定着させたバウズマン監督ということで、さぞや壮絶な人体破壊が拝めるのだろうと意気込んでいたら、熱湯責めや髪焼きなどの生々しさが目を引くぐらいで、全体的に演出が控え目で凄味に欠ける。襲われる時の絶望感、復讐の時のカタルシス、ともに原点には及ばない感じだった。
しかしこの映画、2人の女性を脅して殺し合わせたり、逃げた女性をその仲間に追いかけさせたりと、人の絆を弄ぶようなシチュエーションが多く盛り込まれていたのは気に入った。この辺りの胸糞悪い表現は、「SAW」シリーズの監督の面目躍如と言えるだろう。