スネーク・オブ・ザ・リビング・デッド 死霊蛇伝説     「評価 B」

太平洋に浮かぶクラバイ島。この島の民はブードゥー教を信奉しており、最高司祭ダンバラの指導のもと、生贄の女を殺してゾンビに変える儀式が頻繁に行われていた。これを快く思わなかったのが本土の政府。彼らは伝統ある儀式を「秩序を乱すもの」と見なし、現地にラビッシュ大佐を派遣。彼が率いる警官隊に儀式を取り締まらせることで、治安を守ろうと企てた。一方、禁酒活動家のアナベラは資金援助を頼むため、クラバイ島でプランテーションを経営している叔父モルダーのもとを訪れた。しばらく島に滞在することにしたアナベラだったが、そんな彼女の様子を使用人カリアが食い入るように見つめていた。ブードゥーの巫女であるカリアは、アナベラを次なる儀式の生贄にしようとしていたのだ。やがて毒を盛られたアナベラは、仮死状態になって捕えられる。そして夜、ダンバラたちブードゥー教徒による儀式が始まった。だがアナベラが殺されかかった時、ラビッシュ大佐たちが儀式の場に駆けつけてきた…。

ボリス・カーロフがダンバラ役で出演しながらも撮影途中で亡くなり、後半は代役で撮影されたという、ブルース・リーにおける「死亡遊戯」、ベラ・ルゴシにおける「プラン9・フロム・アウター・スペース」みたいな位置づけのオカルト映画。オープニングとエンドロールの両方の背景がカーロフの写真の大写しであり、製作側のカーロフに対する追悼の思いが存分に伝わってくる。
そんな本作はブードゥーの儀式を主軸にしたゾンビ映画であるが、ゾンビ自体の活躍の場は少なめ。むしろメインになっているのは「THE SNAKE PEOPLE」という原題からも分かるように、儀式における美女と蛇のエロティックな絡みの方だった。カリアが全身に蛇を絡ませて踊り狂う光景は、不気味な音楽も相俟って妖しさ抜群。他にも蛇は作中の至る場面で活躍し、仮死状態になったアナベラが潜在意識下で蛇を愛でる自分自身と対面したり、呪いをかけられたラビッシュが蛇の幻覚を目撃したりと、儀式ばかりで単調気味な本作に程よいアクセントを生み出していた。


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