イエローストーン国立公園にて、火山噴火の予兆と思しき現象が続発。川の水が沸騰し、地震が起こり、間欠泉からは溶岩が。この事態を察知した火山学者のケイトは、災害対策局に噴火の危険を訴えるが、イエローストーンでは64万年間も噴火が起こっていなかったので、なかなか彼女の話を聞き入れてはくれなかった。ケイトは焦りながらも、国立公園の高台に建てられた火山活動の観測所にこもりながらデータ収集に明け暮れる。とその時、パソコンの画面が歪み、ケイトにそっくりの顔をした女性が現れた。彼女は自分が数年後のケイトであると告げ、今から48時間以内にイエローストーン公園が大爆発を起こすこと、それにより北米大陸が壊滅的な被害をこうむり、多くの人命が失われることを知らせてきた。あまりもの突拍子もないことにケイトは驚きを隠せなかったが、モニターの女性の言うとおり、火山活動は深刻化の一途を辿っていく。そこでケイトは彼女が未来の自分であることを信じ、助言を仰ぐことにした。未来のケイトは火山活動を沈静化するため、正確な人工降雨のデータ、そしてケイトが研究を進めながらも現時点では完成に至っていなかった、溶岩を結晶化させる薬品のデータを提供しようとした。しかし未来から過去にデータを送信することで、タイムパラドックスが発生。結晶化する薬品のデータが95%送られた時点で未来の歴史が書き換わり、通信は遮断されてしまった。そのためケイトは残る5%のデータを、自力で補完しなければならなかった…。
「オデッセイ2001」のマット・コッド監督による、火山パニックと歴史改変SFを組み合わせた珍品。本編が展開する時代は製作された2011年と変わりない様子なのに、それから僅か数年後に過去と交信してデータのやりとりをする技術が確立しているというのは相当すごい話だ。きっと北米大陸の壊滅を阻止するため、全世界の技術力を総動員させたに違いない──と思いきや、モニターに写される未来の様子を見ると、通信はあくまでケイト個人の技術で行っている模様。幾らなんでも凄すぎではないだろうか。せめて20〜30年後ぐらいにしたら少しは現実味も帯びてくるだろうに、たった数年後では大いに無理があるように感じられた。
だが歴史改変モノとしては首を傾げてしまう一方で、火山パニックとしては悪くない出来だ。ケイトが観測所で未来の自分と交信している合間合間に、森林警備隊のチャーリーが娘や同僚を助けるために最前線で奮闘する様子を挿し込み、災害描写をしっかり盛り込んでいる。火傷した人間の爛れたメイクは凄惨さを際立たせているし、火山灰で視界が悪くなっていく中での脱出シーンは見応えがある。溶岩を薬品で固めてしまうというのも、火山パニック映画としては割と珍しい解決方法だった。